音楽家、坂本龍一がのこした作品の数々を、彼が深く影響を受けたクラシック作品と共に演奏する日本フィルハーモニー交響楽団の公演「作曲家 坂本龍一、その音楽とルーツを今改めて振り返る」が6月2日(日)に東京芸術劇場で開催される。
昨年3月に亡くなった坂本龍一は、伝統音楽やジャズ、現代テクノロジーといった幅広い音楽を融合させ、独自の音楽世界を築き上げ、多くの音楽ファンを魅了し続けている。
本公演では坂本龍一作品から「箏とオーケストラのための協奏曲」、映画 『ラストエンペラー』より「The Last Emperor」、地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)、そしてドビュッシーの《夜想曲》と 武満徹の組曲 《波の盆》より「フィナーレ」を演奏。クラシック音楽を学び、オーケストラも指揮した彼の作品をクラシック文脈の中で捉え直してみる試みだ。
日本の音楽をこよなく愛する日本フィル首席指揮者カーチュン・ウォンがタクトをとり、箏の遠藤千晶、東京音楽大学の合唱団、ピアニストの中野翔太が出演。開演前には、監修の小沼純一によるプレトークも行われる。
■公演に寄せて 小沼純一(早稲田大学文学学術院教授、音楽・文芸批評家)
坂本龍一が世を去って、1年。日本フィルはこの音楽家への敬意を、コンサートというかたちであらわします。あまりふれる機会のないオーケストラ作品をステージで演奏する。音楽家じしんが敬愛し、意識していた先達の作品もあわせて提示します。
中心に据えられるのは、《ラストエンペラー》とともに、バルセロナ・オリンピック開幕のための《地中海のテーマ》と《箏とオーケストラのための協奏曲》、2つのオリジナルのオーケストラ作品。
《協奏曲》は2010年に関西圏と関東圏で演奏されていらい再演されていません。これらはまた、映像や物語に付随することなく、描写的なタイトルもなく、楽器の音そのものによって構築される、音・音楽と聴き手がじかに対面できる作品です。
ドビュッシーの生まれ変わりではないだろうか。
武満徹の映像とともにある音楽を、ドビュッシーとのつながりも考慮し、坂本龍一作品のあいだに配置する。プログラミングはそのようになっています。
ドビュッシーや武満徹の音楽を対照しながら、「オーケストラ」という媒体をとおしてあらわれてくる坂本龍一の顔貌にふれる―かならずや貴重な機会となるでしょう。
日本フィルハーモニー交響楽団
第255回芸劇シリーズ
作曲家 坂本龍一、その音楽とルーツを今改めて振り返る
日本フィルハーモニー交響楽団 Ⓒ飯田耕治
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451192(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451192&afid=P66)
6月2日(日) 14:00開演
東京芸術劇場
【出演】
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
箏:遠藤千晶*
ピアノ:中野翔太**
合唱:東京音楽大学***
【プログラム】
ドビュッシー:《夜想曲》***
坂本龍一:箏とオーケストラのための協奏曲*
坂本龍一:The Last Emperor (映画 『ラストエンペラー』より)
武満徹:組曲 《波の盆》より「フィナーレ」
坂本龍一:地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)**,***
監修:小沼純一