「鉄の爪」に切り裂かれた悲しき一家の物語『アイアンクロー』
イラストレーション:高松啓二

映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。



【水先案内人 高松啓二のおススメ】



1960年代は、プロレスが人気スポーツでフリッツ・フォン・エリックの得意技“アイアンクロー”は友達同士でやりあったものだ。

本作はフリッツの息子達の悲劇を描く。



悪役で成功した父親フリッツは息子達をプロレスラーに育てていく。しかし、兄弟は次々と亡くなり呪われた一家とも呼ばれた。試合シーンもあるが、勝負は重要でなく父親の強烈なプレッシャーと兄弟の絆がメインとなる。主に次男のケビンを通して語られる。彼は器用でなく優しい男なので父親から叱責される。

三男のデビッドは才能と華もあり、すぐにケビンを追い抜いていく。陸上選手の四男ケリーは、プロレスラーになって活躍をはじめる。



彼らの動機は父親の期待に応えるためだ。それゆえ、デビッドは病死し、ケリーやケリーの怪我で無理にレスラーになったマイクも自殺してしまう。皮肉にもケビンが助かったのは不器用なせいだったかも知れない。このようなスポーツ一家を美談のように語られたりするが果たして……と思ってしまう。

鉄の爪は心まで引き裂いた。



<作品情報>
『アイアンクロー』



4月5日(金) 公開



監督・脚本:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、モーラ・ティアニー、スタンリー・シモンズ、ホルト・マッキャラニー、リリー・ジェームズ



公式サイト:
https://ironclaw.jp/



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