柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い
ミュージカル『マタ・ハリ』製作発表会見より、左から)石丸さち子(訳詞・翻訳・演出)、神尾佑、廣瀬友祐、愛希れいか、柚希礼音、加藤和樹、甲斐翔真、春風ひとみ (撮影:五月女菜穂)

ミュージカル『マタ・ハリ』が2025年10月1日(水)より東京・東京建物Brillia HALLほかで上演される。6月23日に行われた製作発表会見では、出演者による歌唱パフォーマンスに加え、日本初披露となる新曲の追加も明らかにされた。



『ジキル&ハイド』など、数々のミュージカルを手掛けてきた作曲家フランク・ワイルドホーンによって、2016年に韓国で生み出された本作。日本では、石丸さち子訳詞・翻訳・演出のもと、2018年日本初演、21年再演と上演を重ね、今回で3度目となる。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

柚希礼音

タイトルロールのマタ・ハリ役を日本初演から演じ続けている柚希礼音は「大好きなマタ・ハリ役を3回も挑戦させていただけるなんて、本当に嬉しい。人生のすべてをかけて挑みたいと思っております」と挨拶。マタ・ハリの魅力を尋ねると、柚希は「戦争の中であのような形で生き抜く女性を、本当の意味で理解するのがなかなか難しかったのですが、私は実在の人物を演じるのが好きで。本などの資料は周りの人がその人のことを書いているので、仮に悪評が書かれていたとしても、本当はどうだったのだろうと想像する。それを追い求めていくと、気づけば“世界中で一番のマタ・ハリの味方”のような気持ちになって……。“女スパイ”という部分を切り取られることが多いと思うのですが、一生懸命生きた女性だと思うので、精一杯深めて演じていきたい」と3度目のマタ・ハリ役へ思いを込めた。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

愛希れいか

マタ・ハリ役を再演から演じている愛希れいかは「前回はいろいろな意味で悔しい思いがありました」と胸の内を明かし、「マタという人物が、自分の想像では想像しきれないほどの人生を歩んできているので、深みだったり、細かいところだったり、自分の中の反省がありました。今回4年ぶりということで、どれぐらい自分自身の引き出しが増えているか分からないけれど、とにかくぶつかっていきたい」と気を引き締める。「マタ・ハリ自身、どんな境遇でも、どんなことがあっても生きることを辞めないんです。そこに私自身、勇気をもらえますし、尊敬しています。

一方で、人間味もあって、少女のようなピュアな心があるのも好き。人生のすべてをかけられるお役に出会えた幸せを噛み締めて、皆さんに最高のものをお届けしたい」とも語った。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

「戦いが終わっても」を歌唱披露する加藤和樹

初演でラドゥー大佐役とアルマン役の2役を演じ、再演はラドゥー大佐のみだったが、今回再び2役を演じることになった加藤和樹。会見の中で役名が混ざって「ラドゥマン」と言い間違えてしまい、笑いを誘った場面もあったが、「(Wキャストの)甲斐(翔真)くん、廣瀬(友祐)くんといろいろ刺激しあいながら、また新たな気持ちでそれぞれの役を作っていきたいです。いろいろ経験を積み重ねた中で、いまだからこそできるラドゥーとアルマンとして、懸命に生き抜いていきたい」と意気込んだ。



「人間はこんなにも美しい」――新キャスト・新曲を迎えた新たな『マタ・ハリ』へ

本作品には初参加となる、ラドゥー大佐役の廣瀬友祐は「演出の石丸(さち子)さんとはこれまでそんなに遠くはない距離感でお仕事をさせていただいていたのに、なかなかご縁がなくて。今回初めてご一緒できるので、とても嬉しく光栄に思います」と切り出し、「初演から携わっているキャストの皆さま、作品を愛しているお客様に最大限のリスペクトを持って、新たな1ピースとして精進していきたい」と話した。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

廣瀬友祐

アルマン役の甲斐翔真も、本作品には初参加。「初演からずっと観させていただいていて、大好きな作品だったので、出演させていただけることにとてもワクワクしております」と期待感を持って語る。この日は「普通の人生」というナンバーを披露した甲斐だが、「マタ・ハリや戦況など、いろいろなものが絡んできて、アルマンは普通の人生に憧れる。当たり前のことが当たり前でなくなっているいまの時代と重なる部分だと思うが、この2025年にアルマンを演じる意味を僕の中で見つけられたら」とも。



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「普通の人生」を歌唱披露する甲斐翔真

ヴォン・ビッシング役の神尾佑は「演出の石丸さんは一度一緒にやらせていただきたいと思っていた演出家なので、非常に楽しみ。

僕はミュージカル界では若輩者ですので、先輩方の胸を借りるつもりで、精一杯やらせていただきます」と語り、アンナ役の春風ひとみは「マタのふたりの佇まいに私は本当に感動したんですね。もう一度、ふたりを支えられることがすごく嬉しいですし、個人的に日本での舞台が久しぶりなので、そういう思いも込めて大切にしたいと思います」とコメントした。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

神尾佑
柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

春風ひとみ

演出の石丸さち子は「初演、再演、そして再再演までたどり着けたのは観客の皆様がこの作品を愛してくださった賜物です」と語る。「さまざまな人間模様が絡みあうわけですが、どんな世界であれ、どんな時代であれ、こんなにも人間は美しいんだということを一番に描こうと思います」と熱弁し、「混迷の中にいる私たちは何を学んで、現在にいるのか。戦時中を描くことを心して、現代に生きるマタ・ハリの姿が見えてくるような演出をしたい」。また今回は、韓国の初演版の再演で追加となった「From way up there」という楽曲を、韓国の初演版とは違うシーンで新しく取り入れる予定であると明かし、「飛行機と空を愛したアルマンが、空から見た世界の美しさを歌う。その心にマタ・ハリが動いて、ふたりで声を合わせていく素敵なナンバーなので、どんなシーンでどんな風に歌われるかご期待ください」。



柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

「一生の時間」を歌唱披露する愛希れいか
柚希礼音&愛希れいか、“人生をかけて”挑む新生『マタ・ハリ』 演出家・石丸さち子が語る、新曲に込めた想い

「この命の最期に」を歌唱披露する柚希礼音

この日は「普通の人生」(甲斐翔真)、「一生の時間」(愛希れいか)、「戦いが終わっても」(加藤和樹)、「この命の最期に」(柚希礼音)の歌唱パフォーマンスも行われ、抽選で招待されたオーディエンスが、その様子を見守った。東京公演は10月14日(火)まで。そのほか、大阪、福岡公演が予定されている。



取材・文・撮影:五月女菜穂



★ミュージカル『マタ・ハリ』東京公演のぴあアプリユーザー向けチケット先行を受付中!(https://lp.p.pia.jp/article/news/421317/index.html)
受付は6月29日(日) 23:59まで!



<公演情報>
ミュージカル『マタ・ハリ』



脚本:アイヴァン・メンチェル
作曲:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
オリジナル編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ホーランド
訳詞・翻訳・演出:石丸さち子



出演:
マタ・ハリ:柚希礼音 愛希れいか(Wキャスト)
ラドゥー/アルマン:加藤和樹(Wキャスト)
ラドゥー:廣瀬友祐 (Wキャスト)
アルマン:甲斐翔真 (Wキャスト)
ヴォン・ビッシング:神尾佑
アンナ:春風ひとみ



パンルヴェ:中山昇
ピエール:長江崚行
キャサリン:青山郁代
コリフェ(ファーストダンサー):三井聡



井口大地 / 石井雅登 / 尾川詩帆 / 尾関晃輔 / 伽藍琳 / 木暮真一郎 / 坂口杏奈 / 佐々木淳平 / 高倉理子 / 花陽みく / 晴音アキ / 福本鴻介 / 森山大輔 / 山田美貴



【東京公演】
2025年10月1日(水)~10月14日(火)
会場:東京建物 Brillia HALL



【大阪公演】
2025年10月20日(月)~10月26日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール



【福岡公演】
2025年11月1日(土)~11月3日(月・祝)
会場:博多座



公式サイト:
https://www.umegei.com/matahari2025/



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