ミュージカル『ナビレラ─それでも蝶は舞う─』が開幕した。WEB漫画を原作した韓国発のミュージカル、その日本版初上演だ。
若く才能あるバレエ・ダンサーながら、現実の厳しさを前にスランプに陥っているイ・チュロクを演じる三浦は、5歳からクラシック・バレエに取り組んできただけに、まさに適役。役柄について問われると、「いろんな取材で“俺しかいないと思います”と言ってしまい、自分の首を絞めた。めちゃくちゃ緊張しています」といまの心境を明かした。「でも、本当に宏規しかいないというのは初っぱなでわかります」とフォローしたのは川平。冒頭で展開されるバレエ団のリハーサル風景のことだ。遅れてやってきて皆の顰蹙(ひんしゅく)を買うも、次々とダイナミックな大技を決めて、才能を示す。
川平演じるシム・ドクチュルは70歳。友を亡くし、生きる希望を見失い、重たそうな足を引きずり気味に歩く様子が痛々しい。そんな彼が、ふと目にしたチュロクの踊りに魅せられ、昔憧れたバレエをやりたいと思い立つ。家族の冷ややかな反応をよそに、チュロクのいるバレエ団の団長(舘形比呂一)に訴え、チュロクからバレエの指導を受けることになったドクチュル。
さまざまな出来事を経て、ふたりの距離はどんどん近くなってゆく。岡演じるブンイは、夫ドクチュルのことを心から心配し、夫の先生であるチュロクを優しく迎え入れる。岡は、「一人ひとりが役にぴったりなんです。宏規くんもチュロクにぴったりだし、ドクチュルは慈英さん以外いません。英孝さんも心も顔もイケメンだと再認識させていただきました!」と笑顔を見せた。
狩野が演じるソングァンはドクチュルの次男。
川平自身のバレエもグッとくる。チュロクとのマンツーマンのレッスン、バレエ団の皆とのリハーサルと、場面を重ねていくうちにどんどん上達。一つひとつの動きを大事に、丁寧に、心を込めて踊る姿が胸を打つ。「慈英さんは休憩中もずっと練習していた。バレエをやったことがないという人がどんどん上手くなっていく過程を見ているので、稽古を見て感動させていただいています」と三浦も絶賛だ。
バレエ団の団長、ムン・ギョングクを演じる舘形比呂一は、財政難のバレエ団を率いる苦しい立場にあるが、華やかな存在感で皆を牽引。
年齢を問わず、勇気をもってチャレンジすること、夢を諦めないことの尊さを歌い上げる、心に響くミュージカルだ。公演は6月8日(土)まで、東京・日比谷シアタークリエにて。
取材・文:加藤智子 撮影:岩村美佳
★三浦宏規さん×川平慈英さんの対談インタビュー掲載中!「三浦宏規×川平慈英 バレエが繋ぐ若者と老人の人間ドラマ、ミュージカル『ナビレラ』」(https://lp.p.pia.jp/article/news/367332/index.html)
<公演情報>
ミュージカル『ナビレラ』
上演台本・演出:桑原裕子
原作:「ナビレラ」作:HUN、JIMMY
オリジナル台本・作詞:パク・へリム
作曲:キム・ヒョウン
オリジナルプロダクション:ソウル芸術団
出演
イ・チェロク:三浦宏規
シム・ドクチュル:川平慈英
ドクチュルの妻:岡まゆみ
ドクチュルの次男、TVプロデューサー:狩野英孝
ドクチュルの長男、会社員:オレノグラフィティ
チェロクの元サッカー仲間:瀧澤 翼
ドクチュルの孫娘:青山なぎさ/井上音生(Wキャスト)
バレエ団長:舘形比呂一
久保貫太郎
市川絵美 岩﨑巧馬 岡山玲奈 河西茉祐 古賀雄大 政田洋平 舞夏 山田美貴
2024年5月18日(土)~6月8日(土)
会場:東京・シアタークリエ
チケット情報
https://w.pia.jp/t/navillera/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2448816&afid=P66)
公式サイト
https://www.tohostage.com/navillera/index.html