
世界のバレエ界で注目を集めているオーストラリア・バレエ団が、15年ぶりに日本に帰ってくる。スターダンサーとして一世を風靡したデヴィッド・ホールバーグを芸術監督に迎え、 2023年シーズンには年間の総観客動員数30万人を達成した、豪州最大のバレエ団だ。
そこで10年に渡り、最高位のプリンシパルとして活躍する日本人ダンサーが近藤亜香である。弾けるような笑顔と陽性のオーラ、ブレのない強いテクニックを持つ彼女にとって、今回の日本公演で上演される『ドン・キホーテ』の主役、町娘・キトリはハマり役のひとつだ。
「『ドン・キホーテ』には、子どものころから惹きつけられるものを感じていました。キトリを踊っている自分が目に浮かんで、いつか踊りたいと願っていたんです。初めてのコンクールで踊ったのもキトリだし、プロになって初めて全幕作品の主役に選ばれたのも、ソリストに昇進したときに踊ったのもキトリでした。私の人生の節目にある作品なんです」

(Photo:Rainee Lantry)
そんな大好きな役を生まれながらの溌溂とした魅力で演じてきたが、2023年に『ドン・キホーテ』を新制作した際、ゲスト・コーチとして招かれたシルヴィ・ギエムの指導によって変化が生じたという。
「若いころはエネルギーを120%出し切って踊っていました。でも、シルヴィから『客席がわっと沸く瞬間を作るためには、引くべきところを引いて、盛り上げたいところにエネルギーを集中させたほうがいい』とアドバイスをもらって、強弱をつけるようにしたんです。そうすることで、キトリをただの元気な女の子ではなく、芯が強くて余裕のある大人の女性として演じられるようになりました」

(Photo:Rainee Lantry)
キトリの恋人であるバジルを踊るのは、公私ともにパートナーであるチェンウ・グオ。恋人同士だが、負けん気の強いキトリとバジルは素直になれず、からかいながら挑発するような場面も多いことに対して近藤は「プライベートでの私たちの関係が舞台上で垣間見えると思います」と笑う。
「私のパートナー、お調子者なので(笑)仲間たちといつも和気あいあいと楽しむバジル役は、彼にぴったりです。今回上演するルドルフ・ヌレエフ振付のバージョンは、キトリとバジルが交互に踊って競い合うダンス・バトルみたいなシーンがあるんですが、私たちの負けず嫌いな性格をそのまま出せるので踊っていて楽しいですね」

リモートでインタビューに応じる近藤亜香さん(Photo:Sally Kaack)
近藤は2022年にグオとの間に男の子を出産した。
「出産後から舞台復帰に向けて、チームのスタッフと対話しながら綿密にプランを立てます。自分が望むタイミングで舞台に戻れるので、私は7カ月で復帰しましたが、人によっては9カ月だったり、1年だったりとさまざま。子育てに協力的なダンサーやスタッフが多いので、よくダンサーの子どもたちが遊びに来ています。私たちの息子・丈二は芸術監督のオフィスで遊んでもらうこともあるんですよ!」
母親になったことで「昔と比べて、落ち着いて周りが見えるようになりました。カンパニー内でもお母さんっぽくなって、引っ張っていかなきゃと気負うより、一緒に踊るみんなをサポートしてあげたい気持ちが大きい」そう。
ホールバーグが芸術監督になり、今まで以上に活気に満ちているというオーストラリア・バレエ団。そのエネルギッシュな魅力を感じるのにぴったりなヌレエフ版『ドン・キホーテ』の上演が今から待ちきれない。
取材・文:富永明子
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