劇団員のみで紡がれる結晶、イキウメ『ずれる』
イキウメ『ずれる』

イキウメの本公演『ずれる』が5月11日(日)~6月8日(日)東京・シアタートラム、6月12日(木)~15日(日)大阪・ABCホールで上演される。



劇場の椅子に座っている間、別世界に連れていかれるのが演劇の面白さのひとつだが、イキウメはまさにそれを実現し続けてきた団体だ。

日常のすぐ隣にある非日常を丁寧に描く彼らの作品を観ることは、劇場を一歩出た後、世界を観る目が少し変わるような体験でもあった。年におよそ2本のペースでコンスタントに公演を続けてきたイキウメは、今作を終えた後の公演活動を不定期にするという。



新作『ずれる』は「人間だけが見えず聞こえず、感じることができないもの」についての物語。出演は劇団員5人のみ。落ち着いた佇まいで我々を異世界へと引き込む浜田信也。絶妙なタイミングで空気を和らげも引き締めもする安井順平。観客に寄り添う演技を見せる盛隆二。なんとも言えない哀愁をまとう森下創。特徴的な声で観客の心をぐっと惹きつける大窪人衛。前川知大の描く繊細な世界を体現し続けてきた魅力的なメンバーが、濃密な時間を紡ぐ。



劇団員のみで紡がれる結晶、イキウメ『ずれる』

左から)盛隆二、安井順平、前川知大(作・演出)、大窪人衛、浜田信也、森下創

イキウメはこれまでも実験的な活動を続けてきた。コロナ禍まっただなかの2020年の『外の道』は公演中止となったが、イキウメの物語が起きる架空の町「金輪町」を深堀りするワークインプログレスに切り替えて創作を続行、『イキウメの金輪町コレクション』と題した11の短編を上演をしてみせた。

その中から、作風をがらりと変えた哲学ホラー、新たな『外の道』(2021年)が生まれた。同作は全国上演を経て、2022年にはドートンヌ・フェスティバルに招聘され、パリで初の海外公演を成功させた。より表現を進化させたイキウメは、2023年の『人魂を届けに』、2024年の『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』で、数々の演劇賞を受賞した。



そもそも、彼らは演劇の可能性を探り、さまざまな表現を模索し続ける団体なのだ。だから、「不定期」という言葉だけを捉えて過剰に心配する必要はないだろう。むしろ、これまでにないものが観られるチャンスかもしれない。



2002年の旗揚げから何度もの再演に耐えうる名作を生み出し続けてきたことも、本当に偉大な功績だ。今回、劇団員のみで紡がれる『ずれる』は、現時点での彼らの結晶とも言える作品になるに違いない。



文:釣木文恵




<公演情報>
イキウメ『ずれる』



作・演出:前川知大

出演:浜田信也 安井順平 盛隆二 森下創 大窪人衛

【東京公演】
2025年5月11日(日)~6月8日(日)
会場:シアタートラム

【大阪公演】
2025年6月12日(木)~6月15日(日)
会場:ABC ホール



公式サイト:
https://www.ikiume.jp/



★『ずれる』東京公演の当日引換券発売



※公演当日、開演の60分前より受付にて、座席指定券とお引換えいただくチケットです。公演回によって発売日が異なりますのでご注意ください。

・5月11日(日)~5月18日(日)公演:5月9日(金)10:00より発売開始
・5月20日(火)~5月25日(日)公演:5月16日(金)10:00より発売開始
・5月27日(火)~6月1日(日)公演:5月23日(金)10:0010:00より発売開始
・6月3日(火)~6月8日(日)公演:5月30日(金)10:00より発売開始

※各公演前日23:59までご購入いただけます。

全席指定:7,500円

トラムシート:7,000円
※トラムシートは座席ではなく、客席最後部の壁に備え付けられたバーに寄り掛かれる半お立見のスペースです。

通常の座席とは異なりますので、ご了承のうえ、お求めください。
※トラムシート発売後に、当日券で指定席を販売する可能性もございます。

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ikiume/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558058&afid=P66)



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