続々と売れる、競輪選手製造のかき氷
競輪選手がこぐ自転車の車輪の回転を利用してかき氷を作る〝チャリ氷〟の屋台が7日、北九州市内の商店街に登場。一風変わった演出で親子連れらを楽しませながら、予定していた約200杯を一気に売り切った。
チャリ氷は自転車のチャリとチャリティーをかけており、1杯200円の売上金は北九州市の基金に寄付される。
手前のかき氷製造機につながった自転車(右奥)を選手がこぐと、氷がシャリシャリ
汗だくでも余裕の表情でペダルを回す樫山恭柄
この企画は、小倉競輪をホームバンクとする日本競輪選手会福岡支部北九州事務所によるもので、北九州市小倉北区のこがね市場商店街のイベント「ふれあい夜市」に出店した。現役レーサー9人が参加。選手が自慢の豪脚で競走用の自転車をこぐと、氷がシャリシャリという音を立てて削られ、あっという間にかき氷が完成。子どもたちの多くは競輪選手を知らなかったが、親世代は「選手が自転車でかき氷を作っている!」と興味津々。スマホで動画撮影するシーンがたびたび見られた。
夜市は午後6時半からで、蒸し暑い気候も手伝って売れ行きは絶好調。福岡支部の副支部長・勝部貴博(36)は「2019年から今回で4回目の出店。どれだけの人が来てくれるか心配だったけど、杞憂(きゆう)でしたね」とひと安心。翌日が宇都宮競輪の前検日とあって、盛況ぶりを見届けると一足先に引き上げた。
かき氷製造機を指し示す勝部貴博
今回初参加の阿部英斗(21)は、ゴールデンウイーク明けの平塚GⅢで落車。顔面をすりむいた上に前歯も欠ける痛々しい姿だったが「いろんな人と触れ合うことができたし、やってみて楽しかった」と笑顔で話しながら、テキパキとかき氷を提供し続けた。
テキパキとさばく阿部英斗(右)。すぐ左の奥は松丸裕紀
どんどん売れるかき氷に、スタートから40分過ぎ、林大悟(30)が驚きの表情を見せた。「売れるペースが早過ぎる。自分たちの場所はアーケードの出口あたりで、まだ人の波がこっちまで完全に来ていないのに」。止まらない勢いに内山拓(42)もうれしい悲鳴。「昨年は少し寒かったから氷が最後まで持ったけど、きょうは暑いから無理ですね」と話すと、「はい、残りあと15杯ですよ~」と呼び込みのラストスパートに入った。
大盛況の商店街
すると、夜市終了の午後8時まで45分を残して完売。最後の一杯が売れると、自然と拍手が起こった。
こぎ手以外の選手は達成感よりもあっという間の出来事で、ちょっと物足りない雰囲気すら漂った。「手慣れている? 何度も参加していますからね。
売上金は後日、「北九州市子どもの居場所づくり応援基金」に寄付される。
集合写真に納まる選手たち(後列左から杉山剛、松永真太、林大悟、阿部英斗、松丸裕紀。前列左から樫山恭柄、中井大介、内山拓)