90年代を代表する伝説のドラマ、反町隆史の『GTO』は“不適切にもほどがある”⁉︎ 令和基準で観た結果、いろいろとヤバすぎた!

反町隆史主演で1998年に放送された伝説のヒットドラマ『GTO』が、4月1日にSPドラマ『GTOリバイバル』として帰って来る。そこで今回は26年前に放送された元祖『GTO』を改めて視聴し、令和の価値観のいま観るとどれだけブッ飛んでいたかを振り返りたい。

日本国民の3人に1人以上が最終話をリアルタイムで観ていた‼︎

全話平均視聴率が28.5%、最終回が驚異の35.7%。

1998年に放送された『GTO』(フジテレビ系)の視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)である。

単純計算で日本国民の3人に1人以上が、このドラマの最終話をリアルタイムで観ていたことになる。国民的ドラマとして凄まじい現象が起こっていたのは言うまでもない。

反町隆史が暴走族あがりの破天荒教師・鬼塚英吉を演じた学園ドラマ。

暴言・暴力をいとわず、一見すると傍若無人だが、実は芯のとおった熱い魂を持つ鬼塚が、赴任先の私立高校の生徒や教師たちの問題に体当たりで向き合い、学校全体を変えていくというストーリーだ。

90年代を代表する伝説のドラマ、反町隆史の『GTO』は“不適切にもほどがある”⁉︎ 令和基準で観た結果、いろいろとヤバすぎた!

“GTO”とは一見するとクルマのモデル名のようだが、“グレイト・ティーチャー・オニヅカ”の略である。

そんな反町主演の『GTO』が、4月1日に2時間枠のSPドラマ『GTOリバイバル』として帰ってくる!

そこで今回は、年間100本のドラマ批評コラム連載を寄稿し、1998年放送当時にリアルタイムで視聴していた筆者が、改めて『GTO』を観て、その魅力や注目ポイントを紐解いていきたい。

令和のコンプラに照らし合わせるまでもなくアウト

基本的に『GTO』は教師を主人公とした、よくある学園ドラマのフォーマットを踏襲している。型破りな教師が自己流で生徒と向き合っていくというスタイルは、『3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)に代表される学園ドラマの王道の系譜だ。

しかし、ほかの学園ドラマとは一線を画し、多くの視聴者を魅了したのは、やはり元ヤンの鬼塚ならではのショッキングすぎる立ち振る舞いにあるだろう。

たとえば第1話で教師採用前に面接に訪れていた鬼塚は、生徒をクズ呼ばわりする教頭(中尾彬)にブチ切れて、問答無用でローリングソバットを喰らわすのだ。

同じく第1話で、生徒の両親の不仲を憂いた鬼塚が、生徒の自宅の壁をハンマーでブッ壊すという破壊行動も。このシーンは『GTO』を代表する名シーンとして、いまなお語り草となっている。

『【PV】反町隆史 主演ドラマ「GTO」Blu-ray Box 発売中!』。ポニーキャニオンVIDEOより

第3話では、イジメを止めるため、なぜかイジメられっ子(小栗旬)をビルの屋上から柵の外に向かって逆さ吊りにしてしまう。「助けて!」と泣き叫ぶイジメられっ子を無視し、それを見ていたイジメっ子に向かって、「やるんだったらな、徹底的にやる! それが俺のポリシーだ」とキリッとキメ顔。

普通に考えればありえない。令和のコンプライアンスと照らし合わせるまでもなく、当時の平成の価値観でも間違いなくアウトだ。

ただそれは、現実社会でそういった暴力・破壊行動をしていた場合。決して鬼塚の言動を肯定するわけではないが、まだ昭和の名残がある平成前期のエンタメ作品としては絶妙な過激さで、視聴者に大ウケしたというわけである。

鬼塚の“ありえなさ”を楽しむアトラクションドラマ

だが令和のいまとなっては、このような描写はフィクションのドラマのなかの話だとしても“ナシ”だろう。「こんな暴力教師ありえない!」と大炎上するか、「リアリティに欠ける」と興醒めされるか、どちらかに違いない。

そのため“令和脳”のまま『GTO』を観ると、悪い意味で気になることが多すぎて、まったく楽しめなくなってしまうかもしれない……が、ご安心を。

ハンマーで壁破壊や屋上から生徒吊り下げなど、鬼塚の行動がブッ飛び過ぎていて、ここまでくるともはやコントのように思えるため、コンプラがどうこうなんて気にならなくなって、むしろ痛快なのだ。

ちなみに、鬼塚は教頭が生徒をクズ呼ばわりすることにブチ切れたわけだが、着任初日、受け持つクラスの生徒たちと対面する前に、ヘラヘラしながら「どうせさ、どうしようもない悪ガキの集まりでしょ」と偏見まみれの放言を吐いている。

90年代を代表する伝説のドラマ、反町隆史の『GTO』は“不適切にもほどがある”⁉︎ 令和基準で観た結果、いろいろとヤバすぎた!

生徒を「クズ」呼ばわりはダメで、自分は「どうしようもない悪ガキ」と決めつけるあたりにスタンスの矛盾を感じるが、このドラマを楽しむためにはこういう細かいツッコミどころを気にしたら負け。

『GTO』とは、反町演じる鬼塚の“ありえなさ”を楽しむアトラクションのような作品なのである。

余談だが、本作は反町本人が歌って作詞もしている『POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~』が主題歌となっており、『GTO』を思い出すと条件反射的にこの曲が脳内再生されるという人も多いはず。

筆者は、当時はそこまでいい歌だとは思っていなかったが、今回観なおしているうちに反町の独特な低音ボイスがクセになって、聴けば聴くほど名曲だと思えるように。中毒性もあり、気付くと毎回毎回あのイカしたギターイントロ待ちをしている自分がいるのに気づかされた。

松嶋菜々子窪塚洋介、小栗旬のサプライズ出演は?

久しぶりに『GTO』を観て感じたのは、昨今の令和ドラマはツッコミどころが少なく整合性はあって“ちゃんとしている”のだが、逆にちゃんとしすぎていて“小さくまとまっている”作品が多いということ。

先ほど挙げた鬼塚のスタンスの矛盾など、最近のドラマの主人公なら「キャラ崩壊だ」と糾弾されそうなものだが、そういった辻褄が合わない大味なところこそ『GTO』の魅力。主人公の豪快すぎるエネルギーにただただ飲み込まれて、当時の視聴者たちも現実のイヤなことが頭から吹っ飛んでいたことだろう。

だから新作『GTOリバイバル』でも、コンプラを過剰に気にする“令和脳”の細かい指摘なんかは気にせずに、ツッコミどころだらけでもダイナミックな作風に仕上げてほしい。

先行公開されている予告ムービーでは鬼塚がチェンソーを持っている姿があるので、ハンマー壁破壊のような衝撃シーンの再来も期待できそうだ。

『【あの伝説の教師・鬼塚英吉が帰ってくる!】反町隆史主演『GTOリバイバル』4月1日(月)よる9時放送!』。カンテレchannelより

また、当時の『GTO』はのちに反町と結婚する松嶋菜々子がヒロイン役で出演しており、ほかにも窪塚洋介や小栗旬らも生徒役で出演していたので、『GTOリバイバル』には松嶋、窪塚、小栗らのサプライズ出演の可能性もある。

反町・松嶋夫婦は昨年11月のCMで共演を解禁しているし、同じく昨年11月に窪塚がInstagramで反町・小栗とプライベートでのスリーショットを公開しているので、『GTOリバイバル』出演の布石とも考えられるからだ。

――放送当時24歳だった反町も現在50歳。

倍の年齢になっているものの、昔のイメージを一切損なわない、かっこいい存在でい続けていることも、今回の新作実現につながったのではないだろうか。

20代の頃と変わらず若々しいという意味ではなく、アラフィフなりのビジュアルになってはいるが、円熟味がありながらもヤンチャさを残しており、最高の歳の取り方をしている。

『GTOリバイバル』は、鬼塚が再び問題だらけの高校に教師として赴任するストーリーのようなので、最強のイケオジとなった反町が演じる鬼塚が、令和の高校生たちにどうぶつかっていくか、楽しみでしかない。

文/堺屋大地