メンバー宅のお風呂場の浴槽いっぱいにチーズ牛丼を敷き詰めて驚かせる――。とあるYouTuberグループが行なったこのドッキリ企画が大炎上している。
炎上動画への賛成意見とは?
炎上しているのは登録者数285万の人気YouTubeグループ「チャンネルがーどまん」。メンバーへの過激ないたずらをするドッキリ企画をメインに投稿しており、今回、炎上したのは4月26日に公開された「友達の風呂にチーズ牛丼200人前詰めてみた【ドッキリ】」と題された動画だ。
当然のごとく、コメント欄やXには「おもんないし酷い」「飯を粗末にするな」と批判が殺到。グループのリーダー、がーどまんはその後、自身のXで「段ボールでかさ増ししてたから6人で食べたよ」と釈明(現在は削除済み)して、通常営業に戻っている。
この動画は80万回(5月2日時点)再生と、彼らの他の投稿動画の中でもかなりのヒット作となっているが、そもそもこのような“悪ノリ系動画”は誰に対して、どのような需要があるのか。巷は本当におもしろいと思っているのか。渋谷駅周辺を歩く20~60代の男女100人にアンケートを取ってみることに。
まず、「チャンネルがーどまん」に対して肯定的な意見を聞かせてくれたのは、都内の大学に通う21歳の男子大学生だ。
「これまでも『成人式の日の朝に友達のスーツ捨ててみた』とか『友達のベンツを水没させてみた』など、一般人だと倫理的にできないようなドッキリがとにかくおもしろい。テレビはコンプラが厳しくて何もできなくなっちゃってるから、YouTubeくらいこのくらいぶっ飛んだエンタメをやっていいんじゃないのって思います」
自身の高校時代の悪ノリを思い出して共感する、と話したのは24歳の女性会社員だ。
「私も高校時代に教室で盛大に“醤油かけ”をやって、反省文提出と1ヶ月間、校庭の掃き掃除って罰を受けたので、翌年は怒られないように“小麦かけ”をやりました(笑)。
『スシローペロペロ事件』やバイトテロみたいに人様に迷惑かけてるわけじゃなくて、お金かけて個人宅でやってることだから、別にいいんじゃないですか?」
また、「YouTube動画はあくまでも暇つぶしで見るもので、そんなにムキになるようなものでもない」という意見も聞かれた。
「猫の動画を見て癒されたり、とんねるずの番組(『とんねるずのみなさんのおかげでした』)の落下ドッキリ『全落・水落シリーズ』を見て爆笑したりとか、YouTubeってその程度のものですよ。いちいち目くじら立てる必要ありますか?」(19歳男性・大学生)
ソフトバンクユニを捨てて再び炎上
だが当然、「ありえない!」「不愉快だ!」と怒る層は多く、特に30代以上からは厳しい意見が飛んだ。
「まったくおもしろくないし、食べ物を粗末にしていて人として最低です。本人は『6人で食べた』と釈明してましたが、『完食した』とは言ってないし、何が楽しいのか……。YouTuberがよくやるメントスコーラだってコーラの無駄。見ていてとても不愉快です」(32歳女性・公務員)
「いっぱい再生されるとお金になるんでしょ? YouTuberは儲かればなんでもよくて、倫理観や衛生観念は希薄そうね。もし大学生の息子が同じことをやったら学費だけ渡して家を出てってもらう。食費は自分で稼がせて、食べ物がいかに大事かをわからせるわ」(50代女性・主婦)
「YouTuberという連中は額に汗してお金を稼ぐことを知らないからモノを粗末にするんだね。世の中には食べられない人がいることなんて夢にも思わないんだろう。なかには参考になる動画もあるからYouTubeすべてを規制する必要はないが、運営には対策をしてもらいたいものだ」(69歳男性・会社役員)
100人へのアンケートの結果、「笑える」6人、「笑えない」「不愉快」「不潔」51人、「どうでもいいい」「何も思わない」43人という内訳となり、好意的に受け止める人はほとんどいなかった。
元不登校YouTuberで“青年革命家”として活動する「ゆたぼん」も、がーどまんの動画に対して「学校で何を学んできたんや」と苦言を呈している。
「チャンネルがーどまん」は5月1日投稿の動画でも、一昨年9月にプロ野球のセレモニアルピッチ(始球式)を担当した際に着用した福岡ソフトバンクホークスのユニフォームなどを河原に捨てるドッキリを公開して、こちらも炎上している。
彼らのような一部YouTuberのモラル低下は止まらないが、こうした動画の炎上が彼らのいい宣伝になってしまっている側面があるのは、なんとも歯がゆいところだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班