〈那須2遺体〉事件後「体調が悪い」とウソをつき地元福岡に“逃亡”していた「アニキ」は“宝島ロード”のキャッチだった!彼が沖縄にいた本当の目的と、未読のままだったLINE
〈那須2遺体〉事件後「体調が悪い」とウソをつき地元福岡に“逃亡”していた「アニキ」は“宝島ロード”のキャッチだった!彼が沖縄にいた本当の目的と、未読のままだったLINE

東京・上野で飲食店を展開する「サンエイ商事」の社長、宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)夫婦が殺害され、栃木県那須町で遺体が焼かれて見つかった事件。遺体遺棄グループに1千万円以上の報酬を渡していた「アニキ」こと佐々木光容疑者(28)=死体損壊容疑で逮捕=が、サンエイ系列店のすぐそばで2月から別の店の客引きを始めていたことが関係者の話でわかった。

さらに事件当日の4月15日夜には仕事を休みながら、普段と違うラフな格好でサンエイ系列店の前を私服で急ぐ様子で走っていく姿が目撃されていた。佐々木容疑者は事件後すぐに福岡に飛び、その後沖縄に入っていた。

4月15日、見慣れない私服姿で上野に現れた佐々木容疑者が…

佐々木容疑者がキャッチに立っていた「仕事場」は複数のサンエイ系列店のすぐ近くだった。捜査本部は、福岡出身で東京に人脈が少ないとみられる佐々木容疑者が犯行に絡んだ経緯に注目。

このキャッチの仕事中に宝島夫妻と接点がある“黒幕”と接触した可能性も含めて捜査を慎重にすすめている。

上野の業界関係者によると、佐々木容疑者は飲食店「E」のキャッチを2月中旬から始めていた。

「Eの店長が、付き合いのある福岡出身の友人Fさんからキャッチを使わないかと昨年末ごろ打診されたのが発端です。

福岡から来た佐々木容疑者が2月に現れ、出来高払いでEのキャッチをすることになりました。

佐々木容疑者は若いころはヤンチャな雰囲気でしたが、その中で上下関係の振る舞いをきちんと身に着けた感じで、物腰は低く敬語もきちんと使い、お客さんとのトラブルは皆無。Eの女の子たちからも好感を持たれていたといいます。ただ、東京に出てくるまでの博多のことはほとんどしゃべらなかったようです」(業界関係者)

その佐々木容疑者は4月12日を最後にキャッチに出てこなくなるが、15日夜にEやサンエイ系列店が並ぶ店前で目撃されていた。

「15日の夜7時ごろだったと思います。佐々木が慌てた様子で走っていきました。

なにか急いでいる様子で、お客さんでも迎えに行くのかな、と思いました。佐々木は普段はスーツ姿でキャッチをしていたのですが、その時はパーカーに黒いズボンの私服を着ていました」(Eの関係者)

「用事があって15日の月曜日から福岡にいます」

犯行はこの目撃証言の後、16日未明にかけておこなわれた。

調べなどによると、まず15日深夜に佐々木容疑者を「アニキ」と呼んでいた平山綾拳容疑者(25)が、佐々木容疑者の指示に従い元俳優の若山耀人容疑者(20)ら2人に車を貸している。この2人は品川区内の空き家から、殺害されたか抵抗不能の宝島さん夫婦を車に乗せて那須まで走り、遺体に火をつけたとみられている。

2人に車を貸した後、平山容疑者は16日未明に五反田の居酒屋で佐々木容疑者と落ち合っており、その数時間後に那須で焼けた遺体が見つかって事件が発覚した。

「17日深夜になってEの店長が、佐々木に『今日はキャッチに出てくれるのか』とLINE
でたずねると『体調が悪くて休んでいます』と返事がありました。ところが19日夜になって『用事があって月曜日から福岡にいます』と言ってきた。



月曜日と言えば15日ですよね。体調が悪くて休んでいるのだと思っていたEの店長は『なんで福岡にいるわけ?』と少し不信感を抱きましたが、佐々木が『住所変更や免許の関係の手続きをしている』と説明したので納得したといいます」(同前)

その後も佐々木容疑者は上野に戻ってくることはなかったが、Eの店長は4月下旬に友人と福岡へ遊びに行く計画が以前からあり、佐々木容疑者と福岡で会おうと考えていた。

「店長は25日の夕方にLINEで佐々木に、『29日に一緒に福岡で食事をしよう』と誘うと、佐々木は快諾し、昼に博多名物の水炊きをどの店で食べようかという相談のやり取りが二人の間で何度かありました。佐々木からのLINEは27日の昼が最後になります。

警視庁の調べでは、佐々木は事件後、福岡に動いていますが、25日には沖縄へ行っています。Eの店長はそれを知らず、佐々木はずっと福岡にいるものだと思ってやり取りをしていたようです」(同前)

警視庁担当記者によると、佐々木容疑者は福岡から沖縄へ行く際に、福岡へ戻ってくる復路の航空券も予約しており、福岡では友人と遊んでいたとみられる形跡もある。

つまり福岡・沖縄行きは“逃亡”ではなく、一仕事終えた後に羽を伸ばしていた節があるのだ。

さらに「佐々木は、Eの仕事を紹介してくれたFさんと沖縄滞在中に会っていた可能性があります。Fさんはかなり前から沖縄に在住していましたから」と前出の関係者は話す。

「捕まったのは佐々木かもしれない」

防犯カメラ映像をつなぎ合わせて足取りを追う「リレー捜査」で佐々木容疑者の動きをつかんでいた警視庁は、航空券の購入履歴も確認し、28日午後に沖縄・那覇空港から福岡へ向かう動きをつかみ捜査員を派遣していた。

そして狙い通り空港に現れた佐々木容疑者は空港の喫煙所で捜査員に取り囲まれた。

身柄を押さえられた場面を目撃した那覇空港の店舗関係者は「空港の入り口に人だかりができて、いったい何事かと思いました」と話す。



佐々木容疑者が向かおうとしていた福岡で一緒に食事をする約束をしていたEの店長やFさんは想像もつかない事態に言葉を失ったという。

「29日昼に博多で佐々木と会う約束をしていたEの店長は、前夜に深酒し、29日の未明に『お昼はやめて夕方にしよう』とLINEを送りましたが既読はつかないまま。その時間、佐々木はすでに拘束されていたから当然ですね。

その後、29日午後に、まだ佐々木の名前は出ずに『共犯者が逮捕』というニュースが出ていただけの時間帯に、那覇にいるFさんからEの店長に電話が来て『捕まったのは佐々木かもしれない』と聞かされ、Eの店長は驚愕したといいます。Fさんは佐々木から何か聞いていたのかもしれません」(Eの関係者)

佐々木容疑者をキャッチとして働かさせていたEの店長は周囲に、混乱する気持ちと佐々木容疑者への怒りを口にしているという。

「宝島さん夫妻は周辺とトラブルを抱え、問題がある人物だったかのように伝えられていますが、実際は、奥さんは腰が低くて丁寧で、旦那さんも温厚な人だったという人もいる。



宝島さんは様々な種類の飲食店を集中的に展開してこのあたりの商店街に客の流れを呼び込んだ功労者でもあり、それに便乗したライバル店が無理な客引きをやって宝島さん側が怒ることも多かった。Eの店長も同じように思っており、その宝島さん夫婦が殺されたことに混乱している様子です。

ところが、その宝島さんを殺したグループに、よりによって自分の店でキャッチをしていた人物がからんでいたものですから相当怒ってます」(同前)

「さらに上から指示を受け事件に関わった」と供述する佐々木容疑者が、宝島さんの店のすぐそばで働いていたことが分かったことで、事件は大きな展開をみせそうだ。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班