
フジテレビの2024年秋の改編で、9月30日の放送から伊藤利尋アナがメインキャスターに加わった『めざましテレビ』。12年半ぶりに同番組に戻ってきたベテラン伊藤アナと、2011年、2018年の入社年から出演中の生田竜聖アナ、井上清華アナのトリオが織りなす新しい『めざましテレビ』とは。
生活のリズムにも、番組のリズムにも乗ってきた
――新たなスタートを切った「めざましテレビ」ですが、改めて振り返ってみて、いかがですか?
伊藤利尋アナ(以下、伊藤) 最初の3週間くらいは、まぁ眠れなくて。人間の体内時計というか、リズムってすごいですよね。
確実に疲れてますし、次の日も早いのはわかっているので、21時半くらいに寝ようとは思うんですけど…まぁ眠れない(笑)。
これがね、スタートして4週目あたりから、ようやく“スゥ~”って眠りに落ちていくような感じになりました。
井上清華アナ(以下、井上) たしかにその頃から、会うやいなや「眠い! 眠い!」って言ってたのが、少なくなりましたよね?(笑)
生田竜聖アナ(以下、生田) 眠れなかったというのは、緊張感とか昂ぶってるとかそういうことではなくてですか?
伊藤 最初はそう思ったんですよ。「こんなに長くアナウンサーをやってきたけれど、まぁまぁ昂ぶってるのかな?」と(笑)。ところが次の週になっても眠れないから、これは違うなって。
生田 体の問題でしたか?(笑)
伊藤 ひと月くらいかけて、ようやく体のリズムができたという感じです。
井上 私たちはもちろん、体のリズムは大丈夫なんですけど。
伊藤 番組のリズムはいかがですか?
井上 番組のリズムにも慣れましたよね?
生田 慣れてきましたね、だいぶ。
――新体制スタートの前日は、どんなことを考えていましたか?
井上 ひさしぶりに、ちょっと緊張しました。ただ、自分がメインキャスターになるときの緊張感ではなく、「これからどんな世界が広がっていくのだろう?」という感じでした。
生田 そうですね。
井上 私や生田さんは、入社1年目からこの番組に携わり、その後メインキャスターになりましたが、伊藤さんは12年半ぶりに帰って来るということで、私たちにとってはある意味ニューカマーで。
私たちは迎え入れる側だけれど、大先輩でもあり…。『めざましテレビ』がガラッと変わる“第3章”を一緒に作り上げていけたらいいなという気持ちで、すごく緊張感がある前夜でした。
伊藤 たぶん、ちょっと嫌だったんですよ。
井上 嫌じゃないですよ!(笑) 全然嫌じゃない!
生田 楽しみでしたよね?
伊藤 本当?
井上 すっごく楽しみでした!
――みなさんで決起会はされたんですか?
生田 やりましたね。3人で。
井上 生田さんが仕切ってくれたんですよね。私たちが負担なくごはんを食べに行ける時間はランチになってしまうのですが、2軒目まで行って。楽しかったですよね。
生田 そこでフランクに話ができたので、会をしたことで全然違ったと思います。
伊藤 そうね。
みんなで自由に話せる空気を醸成したい
――この3人で新たにスタートしてみて、今までと変わったなと実感されるところはありましたか?
井上 伊藤さんのことはテレビでは見ていましたが、これまでこんなに長く一緒に仕事をすることはなかったので、「私は伊藤さんについていけるんだろうか?」と思っていましたが、感覚がだんだんつかめてきて、楽しくなってきました。
生田 空気感になじんできたというかね。
井上 そうですね。伊藤さんは大先輩なので、気を使わなきゃって最初は思っていたのですが。やっぱり、すごいアナウンサーなので…。
伊藤 出た! いつも“すごいアナウンサー”っていう雑な表現を使ってくる。あまりリスペクトを感じられないんですけど。
井上 はい(笑)。すごいアナウンサーなので、私たちも気合が入りますし、刺激もあります。でも、そんな気負わなくていいんだなと。
伊藤さんのリズムに乗って、楽しくお伝えしていけたらいいんだなと、1カ月でつかんだ感じです。
伊藤 逆に僕はこれまでのスタイルをあまり知らないので、みんな意外にお行儀がいいなという印象でした。
「〇〇さんの順番です、どうぞ!」というよりは、丁々発止というか、もっとみんなで自由にしゃべれる空気を作ろうよって、最初の1週間くらいは言いました。
だから、作り方がちょっと違うっていうのは間違いないと思います。でもみんなあっという間にそれに慣れていって、そういう空気になっているなと僕は感じています。
生田 これまでは、ここでこの人がしゃべって、このタイミングでこの人がしゃべって…と結構きっちり決めていたので見え方としてもワンショットが多かったのですが、みんなが映る引きの画が増えましたよね。
以前より自由度が上がったと思います。そのぶん、いつ自分の番がくるかわからない緊張感もありますけど。
伊藤 ふたりはもうそこそこのキャリアですけれど、僕自身が入社1年目から『めざましテレビ』でいろんなコーナーをやらせてもらって、育ててもらったなっていう気持ちもあって。
もちろん、決められたことを決められた時間の枠の中できっちりしゃべることは我々の基本ですが、プラスアルファ、今起きていることを、視聴者の方と同じ気持ちになってその場で短く代弁するとか、怒るとか笑うとか、いろんな表現があると思うんです。
それを自然に生放送でできる力は、若いメンバーは特に身に付けられたらいいなという思いもあったりしますね。
“伊藤牧場”でのびのびとやってます
――生田さんと井上さんは、実際に伊藤さんと一緒に仕事をされてみての印象はいかがですか?
井上 やさしいですね。思ってたより!
伊藤 アハハハ!
井上 自分はまだまだだなって思うところがいっぱいあるので、たくさん注意されたり、厳しく言われたりするんじゃないかと思ってたんです。
でも、思ったより自由に…放牧みたいな(笑)。伊藤さんという牧場で私たちが成長していけるように、広~く構えてくださっています。
伊藤 そんな、育てるなんて偉そうなことをしているつもりはないけれど、自由にやる感じがいいと思っているからね。だから生田にも、もっと「俺が生田だぁ!」って前へ来いって感じのことは言いましたけど。
生田 はい(笑)。僕が思ったのは、やっぱり伊藤さんはすごいアナウンサーなので…(笑)。
伊藤 だからその、“すごいアナウンサー”ってなに(笑)。
生田 現役バリバリプレイヤーで“俺は俺!”という感じでやられる方なのかなって思っていたのですが、それこそ本当に牧場のようで、「みんなをこんなに見てくれてるんだ?」って。その中で「もっとこうしていけよ」とか言ってくれるじゃないですか。
井上 そう! ひとりひとりに適したアドバイスをくれますよね。私たちは、その牧場で楽しくやってます(笑)。
伊藤 思ったこと言ってるだけなんですけどね。
いい意味での上昇志向というか、競争心というか、ハングリー精神というか。それは多分あったほうがいいと思う。
井上 もうひとつ伊藤さんについて思ったのは…「こんなにずっとしゃべってるんだ」ってことですよね。
生田 あ~、そうそう(笑)。
――そんなにずっとおしゃべりを?
井上 出社して「おはようございます!」から「おつかれさまでした!」って会社をあとにするまで、たぶんずっとしゃべってます。でも、それくらいしゃべってくださるから、そのままの空気でスタジオに行けます。
伊藤 僕は“すごいアナウンサー”ですからね(笑)。でも、ふたりに自然体で楽しくやれるっていう空気をうっすらとでも感じてもらえてるなら、すごくうれしいことですね。
――そのために、意識的にしゃべっていらっしゃるんですか?
伊藤 いいえ、生まれつきです!
一同 アハハハ!
取材・文/二ッ屋絢子 撮影/立松尚積