吉野家の伝説メニュー「牛鍋丼」が12年ぶりに“ひっそり”復活!「なぜ告知をしないのか」サイレント再販の理由を広報に聞いたら…
吉野家の伝説メニュー「牛鍋丼」が12年ぶりに“ひっそり”復活!「なぜ告知をしないのか」サイレント再販の理由を広報に聞いたら…

「うまい、はやい、やすい」をキャッチコピーに、100年以上にわたって庶民の胃袋を支えている牛丼チェーン大手・吉野家。日常的に利用している人も多いであろう同店に、年明けから起きている“ある異変”が密かに話題となっている。

“伝説メニュー”の復活報告がじわじわ拡大中

話題になり始めたのは、年明けムードも落ち着いた1月下旬のこと。SNSで吉野家の“あるメニュー”の復活が、徐々に報告されるようになったのだ。

あるメニューとは、おなじみの牛肉・玉ねぎに、豆腐と白滝が入ってご飯にのせられた「牛鍋丼」。2010年9月に並盛280円という低価格で誕生し、2013年4月に惜しまれつつ販売終了した商品だ。

あれから12年を経て復活を果たした形だが、吉野家の公式サイト等でいっさい告知されておらず、メニュー一覧にも「牛鍋丼」の文字はない。

キャンペーン情報などを投稿している公式Xで「牛鍋丼」と検索しても、2022年に「吉野家史上一番好きなメニュー」のアンケート結果として投稿されたのが最後となっている。

ゆえに消費者は、「食べに行ったらたまたま販売されていた」というシチュエーションでしか「牛鍋丼」には遭遇できず、SNSには、以下のような喜びと困惑が入り混じった声が上がっている。

〈公式ページにはないけど吉野家 牛鍋丼が復活してる!? ポスターはあったのに〉

〈まさかまた牛鍋丼が食える日が来るとは HPには載ってませんが、店舗限定で出してるようですね〉

〈ふと目に入った吉野家に牛鍋丼復活の文字を見つけ脇目も振らず入店。懐かしの味に感激しつつ支払いを終え歩きながらいつの間に復活していたのかとネットを漁ってみたけど、復活の情報何一つ見つけられないのだが?〉

〈吉野家の公式ホームページのメニューにも牛鍋丼載ってないし、復活の記載もない、もちろん店舗限定の情報もない… 出前サイトで食べた店舗見てみても、牛鍋丼はなかった… 俺は何を食べたんだ?〉

なぜ告知なしの“サイレント復活”? 広報にたずねると…

2022年に公式Xへ投稿された「一番好きなメニュー」のアンケート結果で5位という好成績だった「牛鍋丼」。これだけファンの多いメニューが、なぜ“ひっそり”と復活したのだろうか。

株式会社吉野家の企画本部・宣伝広報担当に聞いてみたところによると、「牛鍋丼」は「実験商品」という位置付けで、現在行なっているのはテスト販売だという。

販売店舗数は「関東圏を中心に30店舗」で、具体的な店名に関しては「実験商品のため」として非公開。かなり限定しているようだ。

告知がないのもこうした背景によるもので、「実験商品のため販売店舗のみの告知としております」と担当者は回答。

販売対象の30店舗で、ポスターや垂れ幕を掲示するに留まっているという。

同社の公式サイトによると、国内の吉野家は全国で1259店舗。うち30店舗でしか販売していない上、対象店舗の告知もないとなれば、たまたま遭遇するのはかなりラッキーだろう。

復活したはいいものの、お目にかかることすら難しい「牛鍋丼」。

今回、一部店舗とはいえ復活した理由について、担当者は「お客様から復活を望む声が大きかったため」と、ファンの意見をふまえた判断だと明かしている。

今後の全国販売についても、「実験での販売のため、今はまだ検証段階となります」と、反響しだいであることをうかがわせたのだ。

物価高に勝てず価格は上昇。気になる売れ行きは…

さまざまな事情を知ったところで、「牛鍋丼」が食べられる実際の販売店舗を訪れてみた。

同店は外から見えるように「牛鍋丼」の垂れ幕が掲示されており、担当者の説明通り、販売店舗では宣伝を行なっている様子がわかる。

駅を挟んだ反対側にも吉野家の店舗があるのだが、こちらでは販売を実施していなかった。やはり、かなり絞った範囲で“実験”を行なっているようだ。

さっそくタブレットで注文したのだが、ここで意外な“時代の変化”を感じることになる。

前回の販売時は並盛280円(税込)だった価格が、税込437円と150円以上も値上がりしていたのだ。

マネージャーと思しき店員に「牛丼」との違いをたずねたところ、「ごはんの量は変わりませんが、肉の量が半分で、代わりに豆腐と白滝が入っています」とのことだった。同店以外の販売店舗については「ちょっと存じ上げないですね…」との回答だった。

気になる味だが、ここは“さすが吉野家”といったところだった。たしかに肉は少ないが、豆腐と白滝は甘辛いタレが中まで染みており、通常の牛丼よりも下のご飯がより進む味付けだ。まさに「牛鍋」が丼内で再現されており、すき焼き風の牛丼が好きな人なら、こちらのほうがハマるかもしれない。

売れ行きについて広報担当者は「実験段階では、一定の評価はいただいております」と答えている。先述の「検証段階」という回答と合わせると、正式な再販もあながち夢ではないかもしれない。

今回の再販期間については、「2025年1月24日から3月17日を予定しております」とのこと。正式な復活を臨む牛鍋丼ファンなら、早めに足を運んで注文しまくったほうがよさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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