ガッチャンコ、鉛筆なめなめ、全員野球…“おじさんビジネス用語”を新社会人はどう思う!? “最もイタい”言葉に輝いたのは…「セクハラっぽい」「一番きしょい!」
ガッチャンコ、鉛筆なめなめ、全員野球…“おじさんビジネス用語”を新社会人はどう思う!? “最もイタい”言葉に輝いたのは…「セクハラっぽい」「一番きしょい!」

4月1日、新年度が始まり、多くの若者たちが社会人としての一歩を踏み出した。そんなフレッシャーズを迎える職場には、ひと昔前のビジネス用語を当たり前のように生き生きと使っている中年男性の姿も見られるはずだ。

そこで今回は、新社会人100人を対象に東京・新宿駅周辺で街頭インタビューを実施。“おじさんビジネス用語”をどう受け止めているのか、そもそも意味を知っているのか、若者たちのリアルな声を聞いた。 

「おじさんビジネス用語」が組織内コミュニケーションの妨げに!?

ビジネスの現場では、自身の社会経験をもとに、さまざまな“用語”を使う中年男性の姿も多く見られる。そのなかには、すでに時代遅れ、的外れとなっている言葉も多く、世代間の円滑なコミュニケーションを妨げる一因にすらなっていることもある。

今回、取材班が街頭インタビュー用にピックアップした「おじさんビジネス用語10選」は、以下の通り。

1.全員野球……一致団結して物事にあたること
2.一丁目一番地……最優先事項、もっとも大事なこと
3.鉛筆なめなめ……数字や文章を都合よく調整すること
4.寝技……根回しや働きかけを行なうこと
5.ケツカッチン……終わりが迫っていて時間に余裕がないこと
6.リャンメン……「両面」の中国語読み。麻雀用語でもある
7.ガッチャンコ……複数のものを組み合わせること
8.音頭を取る……先頭に立って主導すること
9.よしなに……「よろしく」の意味。「いい感じに」という意味もある
10.ツーカー……関係値が深く、互いに通じ合っていること

今回の調査では、取材班が用意した10の言葉について、「もっとも“イタい”と感じるものは?」「もっとも意味不明だと思うものは?」「現代では不適切だと感じるものは?」など、いくつかの視点から多角的に意見を聞いてみた。以下が、新社会人のリアルな意見である。

「『ツーカー』が一番ヤバいと思います。あと、『一丁目一番地』は意味がわかりません。初めて聞きました」(女性)

「意味不明かつ、イタさを感じるのは『ガッチャンコ』ですかね。擬音なのはわかるけど、なんだか幼稚に聞こえるというか……」(男性)

「一番引くのは『ケツカッチン』です。

バブル時代を再現したコントのセリフみたい(笑)」(男性)

「意味がよくわからない言葉が多いですが、『よしなに』は聞いたことがあります。個人的には『リャンメン』が一番イタいと思います」(女性)

鉛筆なめなめ、寝技、ケツカッチン……「セクハラっぽい」という意見も

その後に出会った2人組の男性も、遠慮のない率直な意見を聞かせてくれた。

「『リャンメン』が一番きしょいですね! 僕の叔父も使っているんですけど、マジで意味わかんなくて。『なんで中国語? 日本語使えよ!』って思います」(2人組の男性A)

「僕は『ツーカー』ですね。ていうか、そもそも聞いたことない言葉が多すぎて、ほとんど意味がわかりません。もし上司から使われたら…前後の文脈でなんとか察するしかないですね」(2人組の男性B)

続いて出会った別の2人組の男性のうち、ひとりは日本で就職したという留学生だった。海外の視点で見た「おじさんビジネス用語」への違和感はというと……。

「上司が『ガッチャンコ』なんて使っていたら、さすがに引きますね。『鉛筆なめなめ』は……響きが気持ち悪いです(笑)」(2人組の男性・日本人)

「僕は全部意味がわからないです(苦笑)。日本では英語ベースのビジネス用語がよく使われますけど、僕たち外国人にとっては、そのほうがむしろ意味が伝わりやすいんです。日本語を覚えるだけでも大変なのに、“おじさん用語”まではさすがに覚えるのは無理です(笑)」(2人組の男性・留学生)

ビジネスの現場では「アサイン」「ベンダー」「キャッチアップ」といった“カタカナビジネス語”が広く使われているが、“おじさん世代”には、こうした用語に拒否反応を示す人も少なくない。

また取材では、「鉛筆なめなめ」「寝技」「ケツカッチン」といった言葉が、不適切に聞こえないかについても尋ねてみた。

「たしかに響きはちょっといやらしいかもしれませんが、“不適切”とまでは言えないと思います」(女性)

「上司が若手女子に『この案件、寝技使って進めといて』なんて言ったら、違う意味に聞こえてしまいそうで危ないですよね。

最近はテレビ業界の問題とかもありますし」(男性)

「たしかにセクハラっぽいかも。でも、今言われて初めてそう思いました。変な表現だとは思いますが、不適切とまではいかないんじゃないですかね」(女性)

新社会人が選ぶおじさんビジネス用語ワースト1位は?

その後は新宿エリア内で場所を移し、さらにインタビューを続行。

「初めて聞く言葉ばかりですね。一番気持ち悪いのは『鉛筆なめなめ』です。40過ぎのおじさんが言っているのを想像すると、ゾッとします」(男性)

「政治学科だったので、『一丁目一番地』は僕も使っちゃうんですよね……(笑)。政治家がよく『一丁目一番地の政策は~』って言うので、自分の中で一番大事にしている価値観を、ついこの言葉で表現していました」(男性)

なかには、「変な用語を使うことで、逆に意味がわかりづらくなっている」と、言葉のセンスそのものを疑問視する声も挙がった。

「イタいのは『ガッチャンコ』で、センスがないと思うのは『寝技』です。『根回し』って言ったほうがよっぽどわかりやすいのに、わざわざ意味の伝わりにくい言葉に置き換える理由がわかりません」(男性)

「『よしなに』は初めて聞きました。意味が複数あると、解釈のすれ違いが起きそうですよね。だから、あんまり使わないほうがいいと思います」(女性)

「『全員野球』って、普通に『一致団結』でよくないですか? それか『チームプレイ』でもいいのに、なんで野球に限定するんだろうって感じです。喩えって本来わかりやすくするためのものなのに、これじゃ逆効果ですよ」(男性)

さまざまな意見が飛び出すなか、気になる結果は以下の通り。

■新社会人100人に聞いた「おじさんビジネス用語」ワースト10
1位:ツーカー(24票)
2位:リャンメン(22票)
3位:ガッチャンコ(14票)
4位:ケツカッチン(11票)
5位:鉛筆なめなめ(10票)
6位:寝技(5票)
7位:全員野球/音頭を取る(各4票)
9位:一丁目一番地/よしなに(各3票)

“ワースト”の座をめぐって熾烈なデッドヒートを繰り広げたのは、「ツーカー」と「リャンメン」。一進一退の攻防(?)の末、僅差で「ツーカー」が“もっともイタいおじさんビジネス用語”に輝いた。

今回の調査では、「どの用語も意味がわからない」という声も多く、「強いて挙げるなら……」と無理に選んでもらったケースも少なくない。そのため、「ツーカー」「リャンメン」「ガッチャンコ」など、響きのインパクトが強い言葉が上位にランクインしたのかもしれない。

新社会人世代からの評判の悪さが浮き彫りになった「おじさんビジネス用語」。当の中年男性たちは、果たしていつまでこれらの言葉たちを使い続けるのだろうか――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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