〈埼玉・15歳女子高生殺害〉「刑務所に行くようなことは二度としません」周囲に話していた谷内容疑者(24)趣味は“回転すし巡り”、潔癖症のハズが…事件直前はゴミ屋敷に
〈埼玉・15歳女子高生殺害〉「刑務所に行くようなことは二度としません」周囲に話していた谷内容疑者(24)趣味は“回転すし巡り”、潔癖症のハズが…事件直前はゴミ屋敷に

さいたま市桜区のマンションで高校生の手柄玲奈さん(15)を刺殺したとして殺人容疑で逮捕された谷内寛幸容疑者(24)。4月14日夜の事件直後に自ら交番に出頭しながら埼玉県警の調べに黙秘を貫く「凶悪犯」は、職場では礼儀正しく先輩にも可愛がられる「好青年」だった。

勤務先の建築会社社長が集英社オンラインの取材に答えた。

「女の子に興味を持っている素振りも見せませんでした」

谷内容疑者が複雑な家庭に育ち、事件を起こして昨年まで服役していたことなどは♯2で詳報した通りだ。そうした経緯を織り込み済みで、社会人として再起を図る青年を雇用していた社長は、苦渋に満ちた表情で重い口を開いた。

「被害者や遺族のことを思えばこんな事を言ってはいけないのでしょうが、私が接してる限り彼があんな凶悪な事件を起こすとは思えませんでした。仕事にも積極的でしたし、住まいである寮でも風呂掃除やトイレ掃除などに率先して取り組んでいました。

職場の同僚ともコミュニケーションをとれていて、会社で一番若い彼を『みんなで育てよう』という空気がありました。それだけに残念です。人には表裏があるのでしょうが、彼は表向きには悪い性格ではありませんでした。現場で先輩から『それ間違っている。ダメだぞ』と注意されたとしても、彼はふてくされるようなこともなく素直に聞いていました」

若者が抱えていた闇に気づけなかったという後悔が、社長にはあった。

「だからこそいい職人に育てたかったんです。あんな凶悪な事件を起こすという裏の部分を見抜けなかったのも悔しいし裏切られた思いです。被害者との接点については私もまったくわかりません。

そもそも彼は、女の子に興味を持っている素振りも見せませんでした。若い男の子でしたし、社内で冗談ぽくお金出して女の子と遊べるところに先輩たちに連れてってもらいなみたいな話をした時も『いやーけっこうです』と言っていたくらいです」

「お母さんが亡くなったら天涯孤独です」

女性への興味を示すことがなかった谷内容疑者だったが、無趣味というわけではなかった。

「読書が趣味で寮の部屋には三島由紀夫や島崎藤村の小説が置かれていました。散歩もよくしていましたね。お寿司が好きで週末になると自転車に乗って回転寿司巡りをしていました。つい最近も『回転寿司は制覇したんで今度はサイゼリヤ行ってきます』なんて話していました。食べるということには喜びを感じていたんだと思います。

彼は、前に犯した罪に関しても後悔していました。万引きなどをされても嫌なので、彼には『何か欲しい物がある時は言えよ』と伝えていました。その度に彼は『刑務所に行くようなことは二度としません。もう刑務所には行きたくありません』と言っていたのですが、まさかあんな凶悪なことをするなんて……」

育った家庭環境についても、社長は熟知していた。

「ウチにきた経緯が経緯ですから、去年の10月ごろに心配をかけないように母親には連絡するように言ったことがあります。その後、本人が『電話しました。

お母さんはがんで入院してて、もう長くないみたいです』と言うので『それなら会いに行かなくちゃね』と伝えましたが、その後に会いに行ったかどうかは確認していません。

ただ本人は、きょうだいはいるけど関わりがほとんどなく『お母さんが亡くなったら天涯孤独です』と言っていました。もともとは東京に住んでいて、父親が厳しい人で『これから掃除します』『これから勉強をします』といちいち報告させられたそうで、『離婚で父親がいなくなって初めて自分の好きなことができるようになった』と漏らしていました」

事件の直前まで仕事ぶりも真面目で、特段変わった印象は受けなかったという。しかし…

「事件の2週間ほど前から、彼は寮の部屋に鍵をかけるようになりました。部屋の中を見られたくないのだろうとさほど気にしていませんでしたが、今思えば何か心の動きがあったのかもしれません。ただ、それを表に出すようなことはなかった。

事件当日も朝から仕事に出て寮に戻っていたので、私は軽く飲もうと思って17時ごろ彼の部屋を訪ねています。彼は普段からあまり飲むほうじゃないので『アルコール度数の低いお酒でもどうだい』と声をかけましたが、『いや、今日はけっこうです』と断られました」

「彼の寮の部屋の中を見たらゴミ屋敷のようになっていた」

そして、谷内容疑者はいつの間にか寮から消えていた。

「その時もどこかに出かける様子もなかったのですが、その後いなくなっていました。(凶器の)包丁は寮のものではないので、どこか別で彼が用意したのだと思います。驚いたのは、事件後に彼の寮の部屋の中を見たらゴミ屋敷のようになっていたことです。

もともと彼はどちらかと言うと潔癖症と言ってもいいくらい几帳面でした。

毎日ふとんもきちんと畳んでいたのに、服やら本やらゴミとかが部屋中に散乱して、携帯と財布も部屋に残されたままでした」

予兆もなく起こった突然の凶行のいっぽうで、社長は言いようのない不安も感じていたという。

「性格も悪くないし、同僚ともコミュニケーションはとれていたのですが、たまに彼の目つきに関して嫌なものを感じていました。具体的に何かをしている時とかではないのですが、なんとなくそう感じることがあるというか……。(送検時に)テレビに映っている彼を見ましたが、あれは何も感情が入ってないような顔に見えました」

15歳の少女を瞬時に惨殺した谷内容疑者。心の闇を照らし、動機を解明する捜査が待たれる。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

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