高級ブランド品、美容医療のはしご…令和女子が憧れる「ぽこぽこ界隈」とは? 自分をいたわる“丁寧な暮らし”その財源はどこからくるのか聞いてみた
高級ブランド品、美容医療のはしご…令和女子が憧れる「ぽこぽこ界隈」とは? 自分をいたわる“丁寧な暮らし”その財源はどこからくるのか聞いてみた

特定の話題や趣味などのSNSでのコミュニティを指す言葉として使われる「界隈」。最近、話題なのが、シャボン玉が弾けるような「ぽこぽこ・ぷくぷく」という効果音とともに、キラキラした日常をYouTube等の動画で発信している“ぽこぽこ界隈”。

今回は“ぽこぽこ界隈”と呼ばれるスタイルを投稿するインフルエンサーmayaさん(@krn_my8)に話を聞いた。 

自家製スムージーで朝食、美容院やエステサロンをはしご…

TikTokやInstagram、YouTubeといったSNSを中心に、じわじわと注目を集めている“ぽこぽこ界隈”。

その名のとおり、シャボン玉がはじけるような「ぽこぽこ」「ぷくぷく」とした効果音に乗せて、同世代の女性たちが思わず憧れるような“キラキラした日常”を切り取ったショート動画を発信しているのが特徴だ。

彼女たちの投稿をのぞいてみると、朝はスターバックスのタンブラーに注いだ水でのどを潤すところから一日が始まり、デパコスを使って丁寧にメイクを仕上げ、自家製スムージーで朝食を済ませる。

日によっては“美容DAY”と称して、美容院やエステサロンをはしごする姿も。さらには、高級ブランドでのショッピング、トレンドのピラティス通いなど、多くの共通するルーティンが見受けられる。

おしゃれで洗練された暮らしぶりに、若い女性たちは“令和の理想のOL像”を重ね、羨望のまなざしを向けている一方で、SNSのコメント欄などには、「この生活、どこからお金が出てるの?」「全部ステマじゃないの?」というような疑問の声も見受けられる。

果たして、“ぽこぽこ界隈”の彼女たちは、どんな仕事に就き、どういった背景を持ち、その生活を成り立たせているのか。

今回は、YouTubeのフォロワ数2万人を抱える人気インフルエンサー・mayaさんに取材を敢行。その暮らしの裏側にあるリアルに迫っていく。

実は堅実家? 投稿に映る“ハイブランド”は会社員時代の名残

現在はフリーランスとして働いているmayaさんが、動画の発信を始めたのは約3年前。まだ会社勤めをしていた頃だったという。

「もともとVlogを見るのが好きで、SNSでの発信も昔から興味があったんです。最初はTikTokから始めて、YouTubeは1年前くらいから投稿をスタートしました。

自分が“いいな”と思ったものを、かわいく動画で残すことにこだわっています」(mayaさん、以下同)

SNS上では“ぽこぽこ界隈”と呼ばれる投稿スタイルにぴったりとハマるmayaさんだが、本人にその自覚はあまりないそうだ。

「“ぽこぽこ界隈”が流行っているのは知っていて、いま話題のぽこぽこしている音源を動画に取り入れたことはあります。でも、自分がその界隈にいるっていう意識はあまりなくて……。

“ぽこぽこさん”って呼ばれてる方たちって、もっときらびやかな生活をしてるイメージなので、“私もその仲間に入っていいのかな?”って感じですね(笑)」

mayaさんの投稿では、ハイブランドのバッグやコスメなどもたびたび登場する。SNSで映えるアイテムの数々は、いったいどのようにして手に入れているのだろうか。

「実は動画に映っているハイブランドのアイテムは、会社員時代に購入したものが多いんです。美容医療も実はほとんどやっていません。最近はネイルもセルフでやっています。

他の方の動画のコメントで『これだけの暮らしができるのは実家が太いからなんじゃないか』と寄せられているのを見たことがありますが、私の場合は一般的な家庭です。現在実家暮らしですが、家賃や食費の一人暮らし相当分は家に入れていて、金銭的な援助は受けていません。

会社員時代より金銭的な余裕がなく、着なくなった服はこまめにフリマアプリに出したりして、お金を循環させています。お洋服は、一度の買い物でだいたい2万円くらい。

多くても月に2~3回程度ですね。自分の中では、かなりセーブしてるつもりなんですが……」

PR案件は「1日に何件も届く」 

SNSでブランド品や美容医療を紹介していると、企業とのタイアップ案件が気になるところ。率直に尋ねてみると、mayaさんはこう答えてくれた。

「1日に何件もオファーをいただくのですが、その中から本当に自分が興味を持てるものだけを厳選して引き受けているようにしていてほとんどお断りしています。

案件を受ける際は必ずPR表記をしていて、これまでにYouTubeで受けたのは3件、全体としては5件ほどです。心から“いいな”と思えないと続けられないし、視聴者さんの目線も大事にしたいので、かなり慎重に選んでいます」

実際にオファーを受けたジャンルは、コスメやスキンケア、美容医療系が中心。中にはマッチングアプリの広告や居酒屋のイベント参加の依頼など、少し意外な案件も舞い込むという。

美容サロンやクリニックからの「無料施術」や「特別割引」といったオファーも少なくないというが、mayaさんはそうした好待遇の提案をあえて受けていないそうだ。

「有名な美容クリニックから“ぜひ無料で受けてほしい”といったオファーがくることも多々ありますが、私は受けたことがありません。特にオファーが多いのは脱毛系の広告ですね。肌管理やホワイトニングなどの案件もありますが、全部自分で調べて“ここがいい!”と思ったところに行こうと思っています」

SNS上では“無料施術を受けている人=嘘っぽい”“ステマだ”というイメージを持たれることもあるようだが、mayaさんはあくまで「自分が納得した美容」にこだわるスタンスだ。

「PR表記をしっかりしていることもあって、ステマだと疑われたことはありません。

今のところ、厳しい批判コメントも少ないです。ただ、SNSにはいろんな考えの人がいるので、たとえネガティブなコメントが来たとしても、“そういう人もいるんだな”くらいに受け流すようにしています」

――“かわいくて理想的”だけでは終わらない、“ぽこぽこ界隈”のリアル。その裏側には、想像以上にシビアで現実的な選択と、美意識への強いこだわりが詰まっていた。

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio)

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