
国会で企業・団体献金を巡る議論が長期化している。当初、与野党の協議により、3月末までに一定の結論を出すとしていた。
2万円パーティについて岸田事務所の見解は…
企業・団体献金を巡る議論で、忘れてはならないのが「政治資金パーティ」の存在である。政治資金規正法により、企業・団体は政党(支部)以外への寄付が禁じられているのだが、パーティ券の購入は可能だ。事実上の企業・団体献金になっていると指摘されてきた。
国民の間に蔓延する深刻な政治不信の一因となった、自民党派閥を巡る「裏金事件」。その余波は今なお続き、政治資金パーティはただでさえイメージが悪いのだが、政治家にとって貴重な収入源であるという事実は何ら変わりないのである。
そのことを裏付けるような動きが4月15日にあった。午前8時すぎ、都内高級ホテルの宴会場で開催されていたのは、岸田文雄前総理(67)の政治資金パーティである。
「〈衆議院議員 岸田文雄と国政を語る会〉と題されたもので、朝食勉強会形式の政治資金パーティになっています。昨年12月にも同様の会をしていました。会費は2万円です。
とはいえ、前述の通り、国会では企業・団体献金をめぐる議論が佳境に入るタイミングである。そんな折のパーティ開催の是非について、改めて岸田事務所に見解を問うてみると、書面で次のように回答した。
〈政治活動や事務所の維持等の経費に充てるため、可能な限り自助努力で政治資金を集めなければなりません。ご質問の政治資金パーティも毎度行ってきたものであり(総理在任期間は自粛)、法令に従い適正に開催しているところです〉
と、政治資金パーティの必要性を説いてみせたのだった。
ポスト石破に“岸田再登板”の声はあるが…
そんな岸田氏は最近、再登板に向けて存在感をアピールするかのように、活発な動きをみせている。
「5月3~7日にかけて総理特使としてマレーシア、インドネシアを訪問し、両国首脳との会談を予定しています。岸田さんが総理在任中に提唱した、日本の技術による脱炭素化推進のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)に関する議連のメンバーも同行し、外国首脳ともこの件について意見をするとみられます。
石破茂総理が関税措置を巡る米国のトランプ政権との外交で苦戦する中で、外務大臣を長く務めた岸田さんとしては、“差”を見せつけたいところです」(全国紙政治部記者)
岸田氏の活動はこれだけに留まらない。昨年末に自ら立ち上げ、会長を務める資産運用立国議連の活動にも力を入れており、高齢者向けの新たな少額投資非課税制度(NISA)の制度導入を提言するなどしている。
「石破総理は金融に疎いとされ、NISA拡充などについてもほとんど問題意識を持ってないとされます。そうした点でも、金融に力を入れてきた岸田さんとは対照的といえます」(同前)
石破政権の支持率が低迷し、参院選を間近に控える中、自民党内における“次の総理”を巡る議論は水面下で徐々に進んでいる。しかし、“岸田再登板”に向けた機運が高まっているとは言い難いのが現状だ。
「むしろ、同じ旧宏池会(旧岸田派)では、林芳正官房長官(64)が、“石破後のワンポイントリリーフ”として名前が挙がっています。
「しんぶん赤旗日曜版」のスクープで…
さらに、岸田氏にとって、頭の痛い問題もある。「しんぶん赤旗日曜版」(4月20日号)が報じた、歴代総理による商品券配布疑惑だ。
「赤旗が報じたのは、岸田氏が総理在任中に政務三役に渡したとされる箱です。〈岸田〉と書かれたのし紙が貼られた箱には、10万円分の商品券が入っていたとされます」(前出・全国紙政治部記者)
3月上旬に、石破総理が新人議員を総理公邸に招き、10万円分の商品券を配布した問題を巡っては、当初より“歴代総理の慣習”と指摘され、原資は総理のポケットマネーではなく、官房機密費である可能性が取り沙汰されてきた。
「赤旗の今回の報道により、その疑惑が再燃すれば、岸田氏もまた渦中の人となりかねません」(同前)
政治資金パーティに勤しみ、虎視眈々と“次”を見据える岸田氏だが、再登板に向けた道のりは容易ではなさそうだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班