〈和歌山・2歳女児虐待死…体重は6キロ〉「精神的に参ってたのかも…葬儀でずっと泣いていた」と親戚、逮捕された夫婦は小学生からの幼なじみ、妻は12月に第三子を出産予定だった
〈和歌山・2歳女児虐待死…体重は6キロ〉「精神的に参ってたのかも…葬儀でずっと泣いていた」と親戚、逮捕された夫婦は小学生からの幼なじみ、妻は12月に第三子を出産予定だった

和歌山市の自宅アパートで今年7月、2歳児の平流菜ちゃんが虐待死した事件で、和歌山県警に保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された両親は小学校時代からの幼なじみだったことがわかった。流菜ちゃんは司法解剖で2歳児の平均体重の半分程度しかなかったことが判明したが、死亡の2ヶ月前に会った親戚によると親子に変わった様子はなかったといい、県警は虐待を強めるようになった経緯について調べている。

「事件後すぐに上の子は児童相談所に」

県警が同容疑で逮捕、9月27日に送検したのは建設業の平晴流(たいら・はる)容疑者(26)と妻の菜々美容疑者(26)。晴流容疑者の親族によれば、2人は同じ小学校、中学校を卒業した幼なじみだという。

流菜ちゃんには4歳になる兄がいるが事件後は児童相談所に引き取られ、平夫婦は逮捕の1週間ほど前から紀の川市内の親戚宅に身を寄せていた。経緯について親戚はこう証言した。

「アパートを引き払わなあかん、電気もガスも停まって風呂も入れず、ハルの髪の毛も菜々美が坊主にしとった。カット代も節約せなあかんかったんやろうな。それやったらもうウチに来いと言ったんや。

お金に困りだしたのは最近のことやと思うわ。ハルは事件以来、ずっと警察の取り調べがあって建設の仕事も全然できず、収入がゼロになった。それに加えて精神的にも参って食欲もなかったんか、2人ともげっそり瘦せとったわ。

ただウチに来てからはしっかり食べさせて少し体重が戻っとった。事件後すぐに上の子は児童相談所に行ったから、ここに来たのはハルと菜々美。2人は流菜ちゃんが亡くなった原因は『わからん』言うとったけど、それがはっきりしたから逮捕されたんやろうな」

県警は事件後まもなく、この親戚のもとにも訪れたという。

「流菜ちゃんの葬儀の時も2人はほとんどずっと泣いとったけど、すぐに警察には呼ばれとった。ウチにも7月に刑事が来て『叩いたりするのを見たことないか』って聞かれたくらいやから。5回くらい来たな。その時点でもう直感で何が起こっているのかわかるやん。

ハルも菜々美も今までは何も問題なく、夫婦仲が悪いとかも聞いたことない。ここに来てからも仲良かったし、だから余計わからへん。毎日、子ども(長男)にも会いたいって2人とも言うてたしな」

「5月にバーベキューをやったときは…」

親戚は流菜ちゃんが元気だった頃も知っており、その際は両親に怯えるなどの不審な点はなかったという。

「警察にはちゃんと言うてるから、本人も認めてるって報道されとるんやろけどな。育児ノイローゼだったんかもしれんし、人間ってわからへんからな。4歳と2歳だったら一番大変な頃やろ。ただ、これは刑事にも言うたけど、ウチに来た時に子どもが怖がってる様子や不審な点はなんにもなかった。

かばうわけやないけど、育児ノイローゼやらで精神的に参ってたのもあるんやろうし、そういうのが重なったり、お金の面もあったかもしれんしな。だからそういうのを相談してほしかったわ。

俺が一番腹立ったのは『ルナがごはんを食べないようになってぐったりして1週間ぐらいで熱中症かなって思って』と言い出したことや。

俺は『なにをしとんのや。ごはん食べない時点ですぐ病院に連れていけ。何もせず放置しとくのも虐待と一緒やぞ』と怒ったんや。その時は黙り込んで2人とも泣いとった。思いつめて心中でもされたらと思ってそれ以上きつくは言わなんだ。そこの加減は難しいんや。

だから俺は元気づけたくてここに住むように呼んだんや。周りに誰かおったらなんでも踏みとどまるやろ。だから何年でもここにおったらええと思ってたんやけどな」

親戚が事件前に流菜ちゃんを最後に見たのは5月のことだったという。

「5月のゴールデンウィークにウチでバーベキューやったときに親子4人で来てたんや。その時は流菜も瘦せ細っていることもなくて、顔にアザもないし、外から見える部分には傷もなく、部屋中走り回って元気にしとったよ。

2人が子どもに怒ることもなかったし、流菜ちゃんは『ママ』とか『パパ』とか片言ではあるんだけど少ししゃべることもできるようになってたしな。けどそれから2か月ちょいで亡くなっとるんやから、その間に何かあったんかもしれへんな」

仕事に関しては建設や土木関係を主に1年くらいで転々としていた

菜々美容疑者はこのころすでに、第三子を妊娠していたようだ。

「この一週間ほど、ハルは朝にウチを出て建設関係の仕事に行って、夕方帰ってくるサイクル。逮捕前日は、菜々美が産婦人科に健診いかなあかんから、ハルの実家に泊まってそこから行くと言っとった。出産予定日は12月らしい。菜々美は子育て、子育てでな。上の子が4歳で、流菜ちゃんが2歳やから。だから保育園入れられるようになったら来年くらいからパートしようかなって言ってたわ」

夫婦そろって「普通の子」。親戚にはそう見えた。

「2人の出会いまでは俺はわからんけど、結婚式は挙げてないわ。子ども産まれて初めて『おお、結婚しとったんかい』って。ハルはタトゥーとかも入ってなくて今は坊主頭だし、ちょっと遠慮がちな優しい子よ。

菜々美も普通の子。

1週間前も『ご迷惑おかけします。しばらくお世話になります』と2人でここに来たわ。これまで2人が別のことで何か警察沙汰になったような話は俺は聞いたことない。ハルは高校は出とると思うけどそれも俺にははっきりよくわからん。

仕事に関しては建設や土木関係を主に1年くらいで転々としていたみたいやけどな。菜々美は女子高を出て介護士の資格をとって働いとった。結婚して妊娠するまでやっとったみたいやな」

ごく普通の若夫婦が、2歳児を死ぬまで虐待した本当の理由はなんなのか。県警の調べが待たれる。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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