子どものためを思ってしていることが、本当にその子のためになっているのか。子育てをする多くの親が、一度は悩むテーマかもしれない。
『夫婦はなぜ壊れるのか カウンセリングの現場で見た絶望と変化』より一部抜粋、再構成してお届けする。なお、プライバシーへの配慮から本文中の名前は全て仮名。
なぜ妻は息子に過干渉になってしまうのか
明彦さん(42歳)は妻である加奈子さん(42歳)が息子の浩二くんに過干渉なのではないかと思っているそうです。
「妻は、なんでもやってあげてしまうんです。宿題は自分でやらせますけど、つきっきり。翌日の学校の準備はもちろん、朝は下着や洋服を全て出してあげますし、着替えを手伝っている時もあります」
「それは、浩二がなかなか着替えようとしないから、遅刻しちゃうと思って」
加奈子さんが口をはさむと「それは浩二の責任でいいじゃないか」と明彦さんが制します。
「心配なのは」
明彦さんは続けます。
「息子が、何かうまく行かない事があると妻のせいにして責めるんです」
忘れ物をしてもママのせい。先日は、学校に持って行く水筒を加奈子さんが準備していなかった事で、朝から「なんで用意してないんだよ!」と加奈子さんに怒鳴っていたそうです。
「そもそも、水筒は帰ってからすぐ流しに出すように言っているんです。でもいつも出さなくて。出さない時は水筒の用意をしなくていい、と言っているんですが、妻はいつも息子の鞄から出して、用意してしまうんです。
「だって、熱中症とか、脱水とか心配じゃない」
「学校には水道があるだろう」
「だって、浩二は水道水嫌いだから」
コロナ中に妻の子育てを見て不安に
明彦さんはコロナ禍からのテレワークで、子育てには積極的に関わるようにしているそうですが、それ以前はあまり関わっていなかった事もあり、夫婦の子育て観が一致していない様子です。
「私は心配なんです。息子が自分の事が何も出来ない大人になってしまうんじゃないかって。あるじゃないですか。引きこもりになってしまうとか」
「そんな極端な事には……」
加奈子さんが言うと、「分からないだろう」と明彦さんが制します。
「水筒も用意が出来てないと、『ママが悪いんだ!』って騒いで、妻を叩く事もあるんです。その時は私が止めに入りますけど」
「お父さんが入るとおさまりますか?」
はい、と明彦さんは言った後、
「ただ、私の言う事を聞くかというとそうでもなく、『やりなさい』と言った事もやりません。私も仕事があるのでずっと見ている訳にもいきませんし。妻にも子どもにもあまり口うるさく言いたくはないんです。夫婦で言い争っているのも子どもに見せたくありませんし」
夫婦喧嘩の目撃も心理的虐待とされる時代ですから、明彦さんの心がけは立派と言えます。ただ、夫婦の子育て観を一致させる必要があります。
「お父さんとお母さんの言う事が違うと子どもは混乱しますし、それにどうしたって自分にとって都合の良い方をとってしまいますからね」
私が言うと、明彦さんは、
「その通りです。今既にそうなっていますからね。
放任主義の家庭に育った結果、妻は
「ご主人が言っている事に対しては、どう思われていますか?」
と私が尋ねると、加奈子さんは、
「夫の言う事が正しいのは分かっています。でも、私も心配だし、出来る事はやってあげたいんです。多分それは私の育てられ方が関係していると思うんですけど……」
と、自分から生い立ちについて話し始めてくれました。
「親はなんでも自由にさせてくれました。でも、大人になって考えると、放任だったんじゃないかって……」
両親と兄の4人家族。両親は共働き。母は夜は家にいましたが、いつも家事に追われていたとの事。
「夕食の時、両親共にいなかった事もありました。食事はお金をくれて、『これで何か買って食べなさい』って言われて。兄は兄で好きな物を買って来て食べていたので、一緒に食べる事はなかったです」
良い成績をとって、親に見せても「そう」の一言で終わったそうです。
「小学校の時に読書感想文で賞を取ったんです。嬉しくて母に話したのですが、その時も『そう』の一言で、喜んでもらえなくて。
高校卒業後はビジネススクールに入学。就職先はなかなか見つからず、派遣登録。派遣で転々としているうちに、20代後半で結婚したいと思うようになり、その頃に夫と出会ったとの事でした。結婚も出産もすごく嬉しかったそうです。
「子どもには私と同じような思いは絶対させない、って思いました。私みたいな空っぽな人間にしたくないので」
心理テスト結果からも、自己評価の低さ、両親への拒否感が認められましたが、距離をおけている事で深刻ではありませんでした。
良かったのは息子の存在が支えとなっている事。家族に対する感情も極めて肯定的でした。
ただ、息子に対して過度な関心を向けており、自身に対する安心感のなさが、息子への過干渉につながっている事も分かりました。
自立心旺盛な夫
明彦さんは東京出身、姉がおり、父親はサラリーマン、母は専業主婦。
「なんでも好きにさせてもらって育ちました」
小さい頃は家族で出かける事も多かったけれど、明彦さん自身の希望で中学受験をする事になり、小4からは勉強で忙しい日々。
「学校も自分で選びました。親は協力してくれたけど、特に口出しはされませんでした」
頑張ったかいがあり、第一志望の有名私立中学に合格。
「親にどんなにうるさく言われても勉強なんかしなかったと思います。自分で決めたから頑張ったのであって。私は息子にも自分で自分の事を決める子になって欲しいんです。だから妻の過干渉が気になって。あれじゃあ、自分の意思なんて持てないまま大人になってしまいます」
心理テスト結果からも、自分に対する自信が強く、意志が強い事も認められました。子どもへの愛情はしっかりとあり、妻にも愛情はありますが、不安を抱いている事が認められました。
文/山脇由貴子
『夫婦はなぜ壊れるのか カウンセリングの現場で見た絶望と変化』 (幻冬舎新書)
山脇由貴子
夫への 妻への不平・不満は実はやり直しの鍵
「幸せな家庭」をあきらめない!
病気の妻にから揚げが食べたいと言う夫。なんでも嘘をつく夫。
家事をやらない妻。実家に尽くし過ぎる妻。
夫も妻も、なぜ、みすみす関係を悪化させるような言動をとってしまうのか。
実はそこには夫婦それぞれが育ってきた家庭環境が影響している。
関心を示されなかった、監視が厳しかった、自分だけ愛されなかった……幼少期の満たされなさを、今のパートナーで補おうとするのだ。
こうした背景を理解し合い、歩み寄ろうと思えれば、夫婦は再スタートできる。
長年多くの夫婦に寄り添ってきたカウンセラーによる救済の書

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


