群雄割拠の春。伝統校の「復活」と、常識を壊す「新星」の激突

春の息吹とともに、聖地・甲子園に球音が帰ってくる。

2026年、第98回選抜高校野球大会は、伝統校の“帰還”と、初出場校や個性派が同居する、見取り図そのものがドラマチックな大会となった。出場32校には、帝京(東京)や崇徳(広島)、北照(北海道)といった久々の名が並ぶ一方、帝京長岡(新潟)は春夏通じて初の甲子園に挑む。

「秋の王者」九州国際大付を包囲する刺客たち

今大会の中心にいるのは、秋の九州大会を制し、さらに明治神宮大会(高校の部)も制した九州国際大付(福岡)である。神宮決勝では神戸国際大付を11-1で下し、“秋の日本一”に立った。
ただ、センバツは「強いこと」よりも「狙われること」が重い舞台でもある。王者の完成度が高いほど、相手は研究と対策に全振りしてくる。九州国際大付がその包囲網をどう割るかが、まず大会の大きな焦点となる。

その王者に“個”で風穴を開けうるのが山梨学院(山梨)だ。秋の関東大会を制し、勢いそのままに甲子園へ乗り込む。
中でも菰田陽生は、192cm級のサイズと投打の可能性で注目を集めてきた存在であり、過去のセンバツでも152キロを計測した報道がある。マウンドでも打席でも空気を変え得る選手がいるという一点で、山梨学院は“王者包囲網”の筆頭に挙げられる。

「復活」の伝統校、そして「初」の衝撃

今年のアルプスを熱くさせるのは、沈黙を破って帰ってきた伝統校だ。

帝京(東京)は16年ぶりのセンバツ出場を決め、久々の“帝京”が甲子園の景色に戻る。
崇徳(広島)も33年ぶりに切符をつかんだ。秋の中国大会ではエース徳丸が存在感を示し、投手を軸にした勝ち筋をつくってきた。
北照(北海道)も13年ぶりの出場である。久々の校名が並ぶだけで、甲子園の空気は一段変わる。

一方で、初出場がもたらす“異物感”もセンバツの醍醐味だ。帝京長岡(新潟)は春夏通じて初の甲子園。しかも新潟からは日本文理も12年ぶりに名を連ね、北信越の文脈自体が面白い。
初出場校は「失うものがない」強さを持つ。接戦で一つ取った瞬間に、相手の常識を崩してくるのがセンバツである。

緻密さが、豪打を止める瞬間

今大会は“分かりやすいパワー”だけでなく、緻密さが試合を奪う場面も増えそうだ。中京大中京(愛知)は5年ぶり、神戸国際大付(兵庫)も5年ぶりに戻ってきた。

守備・投手力でテンポを握り、相手の長所を削って勝つチームが、派手な優勝候補を飲み込む可能性は十分にある。

第98回選抜高校野球出場校紹介 北照(北海道)【選抜高校野球2026】

3月19日、プレーボール。

第98回選抜高校野球大会は、2026年3月19日(木)に開幕する。
圧倒的な個が突き抜けるのか。伝統校の結束が上回るのか。あるいは緻密さが豪打を止めるのか。春の甲子園で証明されるのは、「冬を越えて最も進化した一校」の物語である。

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