電通過労死問題 厚労省が強制捜査へ 一向になくならない過労死の実態とは

電通過労死問題 厚労省が強制捜査へ 一向になくならない過労死の実態とは

2015年12月に女性社員が過労死したことで話題になっている電通の過労死問題。以前にも過労により自殺した社員がいたことなどが明らかになったり、残業時間の過少申告が常態化している疑惑も浮上し、日本のみならず世界中から注目が集まっている。事件や会社の対応など一連の流れをまとめた。

電通に厚労省が強制捜査を実施 電通過労死問題で

2016年11月7日、厚生労働省の東京労働局などが電通の強制捜査を実施したことが分かった。東京・汐留にある本社のほか関西支社、中部支社、京都支社の3つにも捜査が入る。違法な長時間残業をさせた疑いを調査し、違反があれば書類送検される予定だ。10月14日に立ち入り調査が行われたが、それに重ねての調査になっている。

東京労働局などは先月、抜き打ちで本支社に立ち入り調査に入ったが、この調査は「臨検監督」と呼ばれる任意調査で、労働局が電通側に資料の提供を求めていた。強制捜査に切り替えたことで、従業員の労働時間の詳細なデータや、労務管理の運用を示す記録を司法権限に基づいて押収することができるようになる。
電通本社と3支社に大規模な強制捜査 労基法違反の疑い:朝日新聞デジタル

調査により、複数社員が残業時間を過少申告していることが発覚。
大手広告会社の電通が社員に違法な長時間労働をさせたとして強制捜査を受けた問題で、社員が申告した残業時間が会社にいた時間よりも大幅に少ないケースが複数あったことがわかりました。厚生労働省は、労務管理に問題があったとみて、幹部らの事情聴取を行う方針です。
電通、複数社員が残業時間を過少申告

日本で過労死が頻発、企業の悩みの種に―中国紙
なくならない「過労死」  その前兆と予防・対策

電通の過労死問題とは 「1日20時間会社にいる」「何のために生きているのか分からない」

現在話題になっている電通の過労死問題。2015年12月、社員の高橋まつりさんが過労による自殺をしていたことが報じられたことから。高橋さんは同年4月に入社したばかりの新入社員で、インターネット広告を担当していた。本採用となったのは10月のことで、そこから激務の日々が始まったという。Twitterでは「死にたい」という発言を何度もしていた。その後の12月25日、母親への連絡を最後に社員寮の屋上から飛び降りた。

高橋さんは真面目な性格で、何事も積極的にチャレンジする性格だったそうだ。東京大学に在籍中は、週刊朝日でインターン生として活躍。当時の一緒に仕事をしたことのある編集スタッフは彼女の印象をこのように話していたという。

「相手が大物政治家だろうが、有名人だろうが、物おじしない。機転が利いて、根性もある。あの子を精神的に追い込むことのほうがよっぽど難しい」
電通新入社員自殺が労災認定 「週刊朝日」で活躍した24歳の無念
亡くなる前の1ヶ月間の残業時間は105時間にも及んだという高橋さん。仕事のストレスでうつ病を発症し、苦しんでいたがその助けの声が届くことはなかった。

過労死の電通社員、Twitterに悲痛な投稿残す 「1日20時間とか会社にいる」「本気で死んでしまいたい」
過酷電通に奪われた命、女性新入社員が過労自殺するまで

過去にも過労で自殺した新入社員が……3年前にも電通に労災認定が下される

電通では25年前の1991年にも新卒2年目の男性社員が過労により自殺しており、教訓を活かしきれていないのではとの声もあがっている。この件でも残業時間が問題になっており、自殺した大嶋一郎さん残業時間は数えられるだけでも147時間に及んだようだ。パワハラもあり、有給を申請できる雰囲気ではなかった。労働管理がいい加減であることがこの事件を生み、過労自殺が世間に知られる出来事ともなった。

更に、2013年には男性社員が病気で亡くなっているが、これも三田労働基準監督署が労災認定をしている。


14年には関西支社(大阪市)、15年には東京本社に対し、労使協定で定めた残業時間の上限を超える違法な長時間労働を社員にさせたとして、地元労基署がそれぞれ是正勧告。一方で当時新入社員だった高橋まつりさん(当時24)は昨年12月に自殺し、三田労基署が今年9月に労災認定した。
残業「大半の社員が過少申告」 電通を書類送検へ  :日本経済新聞

是正勧告を受けているのにも関わらず、今回の事件も25年前と同じ原因で起こっている。

電通の広告料不正請求は今に始まったことではない! 圧力でもみ消し続けてきた過去の不正事件
繰り返される電通の激務・過労死事件~なぜ「過重労働」はなくならないのか?

”電通社員の心得”である鬼十則が恐ろしい……「取り組んだら「放すな」、殺されても放すな」

電通の社員の心得「鬼十則」が恐ろしいと話題に。

1.仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と「働き掛け」ていくことで、受け身でやるものではない。
3.「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4.「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6.周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


「電通」過労死の背後にある「鬼十則」! もはや「KAROSHI」は世界共通語に

大手なのにブラック? ”臨時対応が多い”広告代理店

大手の広告代理店でもこのような過重労働が起きてしまっている現状は無視できない。広告代理店と聞くとクリエイティブで華やかな世界が想像されがちだが、実際の広告代理店の業務は「顧客とクリエイターをつなぐこと」である。この人と人をつなぐ仲介人の役割がストレスを生むようだ。

「代理店の仕事のメインは、広告主と各媒体の調整業務です。広告主の意見を聞き取り、それを媒体に伝えます。媒体には媒体側の言い分などもありますので、その間に入って調整しています。ただし、テレビコマーシャルや雑誌広告の政策が関わってきますので、何度も修正依頼が入り、その調整が土日や深夜に及ぶケースもあります。また、調整を行うだけではなく、企画書や提案書を自ら書くことも多々ありますので、それなりに忙しいです。しかし、それが常にというわけではありません」(広告業界関係者)

「とんでもない残業時間」大手広告代理店が“殺人的多忙”を回避できない舞台裏とは?

今回の残業について、一部ではこのような声もあがっているという。
「(中略)また、そもそもやらなければならない仕事が大量にあるから残業を強いられているのであって、そこで『夜10時に帰れ』といわれても、クライアントありきの仕事なので、残っている仕事はこっそり自宅に持ち帰ったり休日を使ったりして、片付けなければなりません。これでは、かえって面倒なだけで、本当に迷惑です。本質的な問題を放置したままで体裁だけ繕った小手先の対応を続けていれば、社員の苦労が増すばかりですよ」
電通、夜一斉消灯でも朝5時点灯?朝残業説を電通は否定…社員は「面倒で迷惑」と不満


■電通は22時に一斉消灯を開始し残業規制を図るも、朝5時に点灯が開始され「朝残業しているのでは」と話題に


この報道について、電通は朝残業説を否定。「外部業者の清掃を行っていただいてることによるもの」と説明した。

大事なのは、誰にも注目されずに過労死していく人にも意識を向けること 電通新入社員自殺事件から考える
電通の過労自殺から学ぶ<負のスパイラル>の心理~「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由

政府も36協定見直しに乗り出すも、有用性に疑問の声も 残業の実態に基づいた制度の見直しが急務

日本政府が時間外労働見直しのため、労働基準法の「36協定」の運用を見直し、1ヶ月の残業時間に上限を設定するとしたものの、その有用性については疑問の声もある。

現行の労働基準法には「1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」とされているが、企業と労働組合が協定を結べば、上限を超える残業や休日出勤ができる(36協定)。36協定にも残業の上限が定められているものの、更に「特別条項付き36協定」を適用することによって最大年6回までは上記を超えた時間を労働時間として定めることができるようになる。


導入に当たっては、次の要件を満たしていることが必要です。
1:原則となる延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
2:限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない“特別の事情”をできるだけ具体的に定めること。
3:一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続を、協議、通告、その他具体的に定めること。
4:限度時間を超える一定の時間(延長時間)を定めること。
特別条項付き36協定-就業規則変更作成センター

この「特別の事情」に当てはまるものが曖昧とされていることや、こうした罰則があるゆえに会社が社員にいわゆる「サービス残業」を暗黙のうちに強要してしまう状態が生じていると言われている。
36協定見直しで残業規制へ 「36協定」と「特別条項」の問題点を振り返る

また、「サービス残業」のような残業時間の過少申告が常態化してしまっている背景には、政府の設ける制度の抜け穴の他にも会社の評価制度と勤怠管理の兼ね合いもあるのではないかという見方も。
男性は「係の人に社員証を忘れたと言って1日だけの入館証を発行してもらうと、出退勤の時間が記録されないので抜け道として使っている」と説明しました。
こうした方法を使ってまで残業を減らす理由について、男性は「限られた時間で多くの仕事をやることが評価につながるからだ」と話します。
電通社員過労自殺 残業時間を過少申告し削減か

残業時間の上限は1カ月で45時間!?「36協定と長時間労働」の意外なカラクリ
あなたは働き過ぎかも! 労働基準法内での残業時間の上限ってどれぐらい?

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