
宮崎駿監督、ドワンゴ川上量生に激怒「生命に対する侮辱」
日本を代表するアニメ界の巨匠、宮崎駿監督がニコニコ動画などで有名なKADOKAWA・DWANGO代表取締役会長、川上量生氏に13日放送のNHKスペシャル内で激怒したと話題になった。いったいなぜなのか。そして、接点の薄そうな二人の意外なつながりについてまとめた。
宮崎駿監督、ドワンゴの川上量生に激怒…… AIで作ったCG映像に物議
11月13日に放送されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」で、「スタジオジブリ」の宮崎駿監督が、ドワンゴの川上量生会長に一喝を入れるシーンが放送された。
これは「スタジオ・ジブリ」チームがCGで短編映画の制作している際、訪れた川上氏がドワンゴの最新技術を作品に生かせないかと、自ら説明に訪れた場面で起きた出来事であった。宮崎駿監督のアニメ制作にかける思いの強さが表れた場面となった。
しかし、まさかの一括に言葉に詰まる川上氏の様子などからネット上を中心に大きな話題を呼んだ。
11月13日に放送されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」で、「スタジオジブリ」の宮崎駿監督が、ドワンゴの川上量生会長が持ち込んだCGを「生命に対する侮辱」と一喝する場面があった。
宮崎駿監督、ドワンゴ川上量生会長を一喝「生命に対する侮辱」 -The Huffington Post

障害者を侮辱している 激怒の陰に浮かんだ友人の存在
宮崎駿監督がドワンゴの川上会長に激怒した理由は、何だったのか。それは、川上氏の持ち込んだ人口知能CGの動きが”障害者を侮辱している”ように宮崎監督が解釈したためであった。宮崎監督には身体障害者の友人がいて、そのことを思い出して激高したようだ。
CG自体、頭のないゾンビのような質感のキャラクターがモニターの中で動き回っていて、不思議な光景でもあった。
アニメ界の巨匠、宮崎駿が何故川上量生に対して激怒したのか? 川上量生は人工知能の実験として自ら移動する手段を持つプログラムを宮崎駿にプレゼンした。
すると宮崎駿は「身体障害の友人がいるんですよ。ハイタッチするだけでも大変なんです。彼の筋肉がこわばっている手と僕の手でハイタッチするの。その彼のことを思い出してね僕はこれを面白いと思って見ることができないですよ。これを作る人たちは痛みとか何も考えないでやっているでしょう。極めて不愉快ですよね。そんなに気持ち悪い物をやりたいなら勝手にやっていればいいだけで僕はこれを自分達の仕事とつなげたいとは全然思いません。極めてなにか生命に対する侮辱を感じます」と川上量生に対して怒りを露わにした。
ドワンゴの川上量生が宮崎駿の前でプレゼン 「障害者を侮辱している」と激怒される -デイリーニュースオンライン
言葉に詰まった川上氏、必死の釈明も 鈴木Pから「どこにたどり着きたいんですか?」
宮崎駿監督からの一喝を受け、反応に困った様子を見せた川上氏。
川上量生はまさか怒られるとは思っていなかったようで一瞬言葉が出ず、上を見上げ考えたあと「これってほとんど実験なので世の中に見せてどうこうとそういうものじゃないんです」と弁明。
宮崎駿の隣に座っていた鈴木プロデューサーも「どこにたどり着きたいんですか?」と詰め寄り、スタッフが「人間が描くのと同じように絵を描く機械」と答えた。
ドワンゴの川上量生が宮崎駿の前でプレゼン 「障害者を侮辱している」と激怒される -デイリーニュースオンライン
このやり取りにネット上ではこんな声もあがっている。
ドワンゴの会長川上量生の意見、生への冒涜だという宮崎駿の意見に対しての、顔が若干笑いながらの、これはあくまでも実験なんでといってた部分、あれを見てそういう問題じゃねーよと視聴者と宮崎駿全員思ったはず。 #NHK #宮崎駿 #終わらない人
— まるぽん (@Marupo_n_) 2016年11月13日
あんな醜悪な映像を「命」を描き続けてきた宮崎駿に見せたらどんなレスポンスが来るか、一瞬でも頭を過らなかったあと、自信満々なドワンゴ川上さんの表情がみるみる強張っていくのを見ながら思いました。#NHKスペシャル
— 忍 (@sinobintage) 2016年11月13日
Nスペ『終わらない人 宮崎駿』すごい。ドワンゴ川上会長からAIで作った「痛みを感じないから早く移動するために地面との摩擦を厭わない、這いずるゾンビのCG」を見せられて「これは生命の冒涜であり、自分の作るものに繋げようとはまったく思わない。やりたければ勝手にやって」と一喝してからの
— たられば (@tarareba722) 2016年11月13日
激怒したのは愛の鞭? 意外と知られていない2人の深い関係性
今回、宮崎駿監督がドワンゴの川上会長を怒ったことが話題になったが、実はこの二人の関係性は深いということはあまり知られていない。
川上氏は、以前スタジオジブリで鈴木プロデューサーの見習いとして働いていた過去があるのだ。ドワンゴの会長という職位でありながら、川上氏はコンテンツ作りの極意を学ぶべく無給で働いていたという。
「世界に通用する日本一のスタジオを引っ張る鈴木プロデューサーの仕事を見てみたい」という気持ちから、「ぜひ、鈴木さんに弟子入りさせてください!」とお願いしたところ、あっさりとOKをもらい、晴れてプロデューサー見習いになったという川上会長。
なんと今はスタジオジブリプロデューサー見習い!ドワンゴ会長・川上量生氏「僕がジブリをネットから守ります!」
プロデューサー見習いとしてジブリで働いた気づいたジブリの本質をこのように表現する。
『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『コクリコ坂から』など、ジブリの作品では掃除のシーンがよく出てくると言うのだ。
みんなが大笑いし、鈴木も「宮さんは、困ったらすぐにそうじをさせんだよ」と言う。
こんな他愛ないやりとりからも、川上はコンテンツの本質を探っていく。
ジブリ作品から「おそうじをすること」という要素を取り出したことを、彼はこうまとめた。
現実の情報を圧縮して表現する。それをあらためて現実と比較して、だいたいあっているかどうかを確認する。
ジブリの本質は掃除だった。『コクリコ坂から』制作で川上量生の考えたこと -AOSHIMA BOOK STORE
そんな川上氏の名前は、「風立ちぬ」のスタッフクレジットにも登場する。
宮崎駿監督が手がけたスタジオジブリの最新作「風立ちぬ」。そのエンドロールに「プロデューサー見習い 川上量生」のクレジットがある。
ドワンゴ川上会長、ジブリの次は「エヴァ」の謎 -日本経済新聞
このように、鈴木プロデューサーを介して、スタジオジブリで働いた経験がある川上氏は、以前から宮崎監督と親交があったのだ。
それゆえに、今回のNHKスペシャルのシーンに衝撃を受ける人は多かったようだ。
先日のNHKスペシャル、ドワンゴの川上が宮崎駿に厳しく詰められ、動揺し半泣きになるシーンが衝撃的。ドワンゴ川上は鈴木プロデューサーに弟子入りしたり、宮崎駿とニコ動の番組で対談したり、ジブリで考えたことを本にしたりしているのに、あれをドヤ顔で出すとは……
— けい (@error_ym) 2016年11月13日

ネット上からは川上氏非難の声「あれはひどい」という声があがる一方、「編集に悪意を感じる」との声も
今回、宮崎駿監督がドワンゴの川上会長を一喝した件について、ネット上では川上氏非難の声が相次いでいる。
NHK宮崎駿さんの番組、ドワンゴが見せた人工知能に描かせたゾンビが地面這う絵、、これないわ、、おもたら駿さん激おこ。身体障害者の友人を思い出した、人間の生命に対する侮辱、人間に自信が無い証拠、世も末だと。激しく同感 #NHKスペシャル
—Rie1980s (@rienda0211) 2016年11月13日
しかし、中には宮崎監督と川上氏の間柄を考えてもう少し冷静に判断すべきではないかという声もあった。
ドワンゴ川上さんが一喝されたシーン。何にも分かってない奴が怒られたシーンのような編集ですが、川上量生さんはジブリに所属してた時期があったのですね。宮崎駿さんの怒りはもっともですが、彼らの関わりを知らせないまま、あの場面だけ切り取るのも怖い。#NHKスペシャル #宮崎駿 #ドワンゴ
— moriki_izumi (@moriki10th) 2016年11月13日