現在放送中の大河ドラマ『真田丸』では本多忠勝を熱演している藤岡弘、。「血気盛んな暑苦しい武人」といった雰囲気は、まさにハマり役。
今後の活躍ぶりが非常に楽しみなところであるが、同じく楽しみなのが3月26日に公開される映画『仮面ライダー1号』。
なんと、初代の放送から実に45年の時を経て、再び本郷猛として主演を務めることとなったのだ。間もなく70歳を迎えるとは思えない、並外れたバイタリティである。

そんな藤岡にも長い芸能活動の中でくすぶっていた時期があった。しかし、1997年と2002年に起こったある転機が、今日の躍進をもたらしたと筆者は考える。その2大ターニングポイントを振り返りたい。


1997年 ゲームの熱血伝道師、せがた三四郎に変身


1997年、藤岡弘、はセガの家庭用ゲーム機、セガサターンのイメージキャラクター『せがた三四郎』に起用される。白い道着を身にまとった藤岡が野球をしようとする少年や、ディスコに興じる若者に投げ飛ばす、締め落とすの制裁を加え、「セガサターン、シロ!」=「セガサターンで遊べ!」と、どストレートなメッセージを投げ掛ける物騒なCMだったが、これが大受け。
頭脳ゲームのCMでは、10枚以上重ねられた瓦を頭突きでブチ割り「頭を使え!」と一言。
野球ゲームではすねでボールを蹴ってホームラン、サッカーゲームではゴールポストを背負投げしてPKを阻止と、破天荒なキャラクターを生かしたCMが次々と生み出され、ゾンビゲームから恋愛ゲームまでジャンルを問わずに大活躍。約1年に渡ってお茶の間を賑わせた。

人気が上昇する中、1998年2月にはCMソングが肉付けされた『セガサターン、シロ!』がシングル発売。
スポ根ドラマテイストの楽曲も10万枚近いヒットとなり、この月のCM好感度も2位を獲得。
年末の紅白にもゲスト出演を果たしている。
このCMシリーズでは過酷な撮影でも極力CGに頼らず、可能な限りすべて本人が演じたという。このアグレッシブな姿勢は、5年後の「あの探検番組」で存分に発揮されることとなる。

2002年 探検隊長に就任!猿人、地底人を追いかけろ!


2002年12月25日、『藤岡弘、探検隊シリーズ』がスタート。昭和の伝説の番組『川口浩探検隊』のリバイバルである。2005年春までのわずか全6回のみだったが、そのインパクトは凄まじかった。

なにしろ第1回のタイトルは「アマゾン奥地1500キロ!テラプレータの密林に謎の猿人ジュンマは実在した!」である。

「実在した!」と言い切る力強さが目を引くが、番組ラストに申し訳程度でチラリと登場する「猿人ジュンマ」と思われる生物は「原住民のオッサン」にしか見えないのであった……。
他にも「人食いヅォンドゥー」=「普通の大蛇?」、「謎の地底人クルピラ」=「緑色のタイツ&お面を被った人?」など、毎回釈然としない幕引きだったのは言うまでもない。
底なし沼、原住民の罠には必ずはまり、ボートはなぜか転覆する。ピラニアには噛まれ、アナコンダには巻かれる。
ある意味様式美すら感じる探検であったが、探検隊長・藤岡弘、の魅力が余すとこなく発揮されたロマンあふれる番組に仕上がっていた。

頼もしいのにボケっぱなし!? の藤岡隊長


あらゆる武道に精通し、サバイバル術をも心得ている藤岡隊長。
非常に頼もしい反面、その振る舞いにはツッコミどころが多く、真剣に振舞うほどにおかしさがこみ上げる特異なキャラクターで人気者となった。
トラを見つけて隊長を呼ぶ隊員。そこに大きな音を立てて近づきながら、「大きな声を出すな」と隊員を一喝。古代の壁画を発見し、「金星人文字に似てるな」と異常な(怪しい)博識ぶりを披露。万事、藤岡隊長はこんな感じなのである。
しかし、この隊長「役」が、現在の藤岡弘、のパブリックイメージとなっているのは間違いないだろう。


近頃、グローバルな俳優としてディーン・フジオカが脚光を浴びているが、グローバルさでは「元祖・藤岡」藤岡弘、の足元にも及ばないはずだ。「女のケツを追っかけるより、ジャングルに行ってジャガーのケツを追っかけろ!」と語る藤岡弘、。
漢(おとこ)なら断然、藤岡弘、の生き様を支持すべきだ。
(バーグマン田形)
あきらめない