かつてプロレス界には天才と呼ばれた二人のレスラーがいた。一人は現役レスラーの武藤敬司。
もう一人は2009年にこの世を去った三沢光晴である。
この二人は同じリングに立つ姿を90年代のプロレスファンは夢を見てたが、1999年にそれが実現したのである。

武藤敬司と三沢光晴 初競演はTVゲーム


1999年、TV朝日の番組に当時全日本プロレス社長であった三沢が出演。そこでウッチャンナンチャンの南原と対談し、武藤敬司とのドリームマッチについて聞かれると「見てて面白い試合をする」と答えたのだ。

その三沢と武藤が初めて同じリングに立つことになったのはプロレスの試合ではなく、プレイステーション2のゲームソフト「オールスタープロレスリング2」のデモムービーとCMの撮影。実際の試合ではなかったが、「天才同士が同じリングに!」と当時のプロレスファンは興奮した。

タッグで実現した二人の共演


そして2004年7月10日、遂に二人はリングで相見えることとなる。
三沢の旗揚げしたNOAが行った初の東京ドーム大会において、武藤・太陽ケア組を指名したのだ。
タッグ戦だったとはいえ、初めて二人の天才がリング上で対決。試合は三沢・小川組の勝利に終わったのだが、試合後に武藤はマイクを握り「夢の続き、見ませんか?」と三沢にメッセージを送る。

この夢の続きは武藤敬司デビュー20周年記念興行での三沢・武藤のタッグ結成。この後もリング上で再び交わることが期待されたのだが、三沢の死によって永遠に不可能になってしまった。

同じ時代、同じ世代、デビューした時期もほぼ同じ。
しかし違うリングで注目され続けた二人の天才。今となっては二度と実現することはできないが、この天才二人が同じリングで戦ったことは永遠の伝説として残るだろう。

(篁五郎)
6月13日を忘れない―三沢光晴最後の一日