最近では実写版『天才バカボン』のバカボンのパパ役に抜擢されて注目を集めた、くりぃむしちゅーの上田晋也。バカボンのパパの母校は「バカ田大学」ですが、上田の母校は漫画の設定上、その隣にあるとされている早稲田大学。

そう、彼は紛れもないインテリ。しかもその知性は、テストにしか役に立たない類いのものではなく、テレビの中でも縦横無尽に活用されています。『ニッポンの過去問』で各分野の碩学たちと、『Going!Sports&News』で1流アスリートと、『おしゃれイズム』『しゃべくり007』で俳優やタレントと、幅広く渡り合えるのは、トークスキルと共に無尽蔵な知識があるからに他なりません。

「薀蓄(うんちく)王決定戦」がブレイクへの足掛かりに


そもそも、くりぃむしちゅーが売れっ子芸人になったのは、間違いなく上田の類まれなインテリジェンスがあったからです。
人気に火が付いたのは2003年。上田がテレビ朝日系の深夜バラエティ『虎ノ門』内のワンコーナー「薀蓄(うんちく)王決定戦」に出場したことがきっかけです。このコーナーは雑学自慢の芸能人たちが、様々なテーマに合わせてうんちくを披露していくという内容なのですが、その中で一際異彩を放っていたのがこのくりぃむしちゅーのつっこみ担当でした。


上田晋也が見せる抜群の知識量と頭の回転


どんなテーマに対しても瞬時に反応し、「何でそんなこと知ってるの?」と驚嘆するような細かな雑学を、短い制限時間の中で分かりやすくアウトプットする話術は名人芸の域。さらに一通り言い終わった後で、「ちなみに~」ともう一つ、二つうんちくを付け加えてポイントを稼ぐという、狡猾なダーティーファイターとしての顔も持ち合わせていました。結果、山田五郎・松尾貴史・なぎら健壱など、曲者の論客たちを押しのけて、見事に三代目うんちく王の称号を手にしたのです。
中でも見ごたえがあったのは、伊集院光との対決。片や芸人、片や元・落語家で現・ラジオパーソナリティという、ユーモアある話芸に秀でた者同士の勝負には、ただ単に様々な知識を得られる以上の楽しさがありました。

こうした「薀蓄王決定戦」での活躍が話題を呼び、上田の仕事量は激増。様々なテレビ・ラジオ番組にゲストで呼ばれ、「薀蓄王」と同じ要領でテーマを振られてはうんちくを披露していました。
最初は上田との抱き合わせ的扱いが多かった有田も、その特異なキャラクターや上田同様のトーク力が認められ、コンビ揃って人気芸人の仲間入りを果たし、今に至ります。

うんちくだけでは終わらず 上田晋也の凄さとは


即興的一芸で脚光を浴びるという意味では、なぞかけでブレイクした「ねづっち」なども同じ系譜に当たるでしょう。しかし、ねづっちが今やしがないYouTuber芸人になり下がり、上田が冠番組を複数抱える一線級の芸人にまで上り詰めたのは、うんちく以外に多彩な引き出しがあったから。
彼はトークも面白ければ、仕切りもモノマネもでき、いじられたときの返しも秀逸。さらには「たとえツッコミ」という武器までありました。似て非なるものに言うときは「加藤あいと阿藤快くらい違うよ」、非常に多忙なことを指すときは「本宮ひろ志のアシスタントくらい忙しい」、可能性が極めて低いときは「センターへのファールフライくらいありえないよ」または「広瀬香美が夏の歌で売れるくらいありえないよ」など、バリエーションは驚くほど豊富。

この驚くべき芸を支えるのは、やはり、彼の高性能な頭脳であり、その凄まじさを最も体感できたのが、今から10年以上前の「薀蓄王決定戦」だったのです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりくりぃむしちゅーのあなたはどっち?