Jリーグが開幕し、各地で熱戦が繰り広げられている。かつてはJリーグ屈指の強豪クラブだったジュビロ磐田は、昨年J2から昇格。
開幕戦こそ優勝候補の浦和レッズに勝利したものの、それ以降は苦戦が続いている。だが、ジュビロの監督名波浩は決して諦めずに食らいついていく姿勢を崩さない。そのメンタリティーはかつて同僚だったあの男に教えられたものだ。

ブラジル代表ドゥンガ、ジュビロ磐田に加入


ジュビロは1994年に元日本代表監督ハンス・オフトが監督に就任。選手もイタリア代表のスキラッチ、オランダ代表のファネンブルグが加入して陣容を整えると、翌年の95年にもブラジル代表ドゥンガが加入した。

当時ジュビロに在籍した外国人に関しては色々な話がある。例えばスキラッチは、パスを貰うコースを「この辺くれ」という曖昧な事を言わず、「ここに寄こせ」とピンポイントで名波に要求。
名波はその要求でキックの感覚が研ぎ澄まれたという。
しかし、チームに良い影響を与えたという点ではドゥンガに勝る選手はいない。ドゥンガは加入当初から「闘将」と呼ばれた激しい気性を見せており、名波は「恐らく監督(オフト)にフィールド上の監督になってくれと言われたのだろう」と推測してる。

ドゥンガが植え付けた「勝者のメンタリティー」


ドゥンガはジュビロの選手たちに、「勝つために何をすべきか」を徹底的に植えつけた。同僚だった元日本代表の福西崇史はこの時の様子を「本当に怖かった」と振り返っている。しかしドゥンガの熱を帯びた指導は、選手たちに「勝者のメンタリティー」を植え付け、その後のジュビロの黄金時代へと繋がった。


この「勝者のメンタリティー」は現在、ジュビロの監督に就任している名波にも受け継がれている。名波はかつてのインタビューで「たとえ0─5で負けていても、1点、2点を取りに行くことが明日につながる」とドゥンガが常に言っていたと振り返り、自分たちがドゥンガから教えられたことを後輩たちに伝えていくことがジュビロの伝統だと言い切ったほど。
現在は苦しい戦いが続くジュビロだが、ドゥンガの教えを受け継ぐ選手たちはけっして最後まで諦めることなく奮闘するに違いない。
(篁五郎)

※イメージ画像はamazonよりPROFESSIONAL勝者の条件―勝ち残る者と敗れ去る者の違いとは