何かとしがらみが多い芸能界において、独自の価値観でマイペースに突き進む窪塚洋介。
常人には理解しがたいキャラクターの窪塚だが、この“ぶっ飛びキャラ”となった背景にはある映画との出会いがあったのをご存知だろうか?

窪塚洋介にとっての2001年 持ってた価値観が根こそぎ覆された年


1995年に俳優デビューした窪塚は、2000年のTBS系ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』でのぶっ飛んだカリスマ・ギャング役がハマり役となり、人気が沸騰。その勢いのまま迎えた翌01年は、連ドラでは『もう一度キス』で、映画では『GO』で初主演を果たし、さらに、翌年公開となる『Laundry』や『ピンポン』の撮影に追われるなど、大ブレイクの1年となった。


アイドル雑誌『JUNON』'02年2月号のインタビューでは、その1年を振り返り「変化がいっぱいあったというよりも、ひとつの大きな変化があった。それまで持ってた価値観が根こそぎ覆されたって感じですかね」と語っている窪塚。
それこそが、初主演作となった映画『GO』との出会い。この映画での役作りが、彼の人生観を大きく変えてしまったのである。

在日韓国人役を演じた窪塚洋介、ナショナリズムに目覚める!?


『GO』は'01年10月公開。主演の窪塚は「日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」を史上最年少21歳で受賞したのを始め、あらゆる賞を獲得。ある意味、この時が俳優業のピークかも知れない。

内容は、在日韓国人の高校生が偏見や差別を乗り越えていく青春ラブ・ストーリー。

この難しい役柄を演じるにあたって、在日関連の本や日本人に関する本を数多く読み込んだ窪塚は「関係ない関係ないと思ってたことが、自分にとって関係あること」に気付いたという。
それは、在日問題はもちろん、日本の社会・歴史全般に渡っての考え方にまで及び、自身が日本人であることを再認識することに繋がった。そしてこれ以降、窪塚はナショナリズムに傾倒し、言動にも“独自のカラー”が目立つようになっていく。

窪塚洋介「日本ってナチュラルボーンアウトローじゃん」


アイドル雑誌の性質上、伊藤英明がスカイダイビングやスノボーに、坂口憲二がサーフィンにハマっていると熱く語る中、窪塚が夢中だと語るのは日本の歴史。
パンゲア大陸から長い年月を掛けて少しずつ離れていくことで日本が誕生したことを「日本の土地自体がナチュラルボーンアウトローじゃん」と独特の感性で表現。
さらに、そんな「俺は俺でやってくわぁ」な日本で、森羅万象に八百万の神様が宿るというものの考え方がなぜ育まれたかを知っていくことが面白いと力説している。後にスピリチュアル方面にどハマりする原点が垣間見える発言だ。
インタビューを振り返った編集部のコメントが「あまりの日本男児・変容ぶりにおののいたけど、'01年は洋介くんのビッグバンだったのでしょう」と、困惑を隠しきれていないのも無理もない話である。

インタビューでは「とにかく目線がいろいろあると面白いし、いろいろ広がっていくよって言いたい」と締め、JUNON '01年11月号では、「あらゆる経験をしてみたい。無駄な経験ってホントないと思う」とも語っている窪塚。
映画を通じて、様々なものの見方・考え方があること、あらゆる経験を肯定する姿勢を学んだのは事実。
だから、「幽体離脱したり円盤に会った」と語るのも、「大麻は万能な植物」として全面支持するのも、マンション9階からのダイブ事件も、窪塚的には一貫した言動なのだろう。常人には理解できないけれど……。
(バーグマン田形)

※イメージ画像はamazonよりGO [DVD]