昔、おぎやはぎが司会を務めるテレ東の深夜番組で、自称“お笑い自慢”の素人が、劇団ひとりを筆頭とする芸人たちに大喜利バトルを挑み、フルボッコにされる企画が放送されていました。「テレビ出てる奴らよりも、俺の方が数倍面白いッスから」と、不遜な態度でスタジオに乗り込んできた素人。
ですが、実際に対決が始まると、ハイレベルな回答で場を沸かせる芸人たちに対し、サブいボケを連発。
「は?」という空気になり、しまいにはひとりから「大喜利じゃなくて、クイズだと思ってる?」と聞かれる始末。何一つ面白いことを言えないまま、壮絶な討ち死にを果たしていたのです。

これが、ガチンコなのか、やらせなのかは分かりません。しかし、調子に乗った一般人を公開処刑にしてみせようという、番組側の意図が働いていたのは明白。
芸人からしたら、常々このような素人には腹を据えかねていたのでしょう。
当然です。全てを失う覚悟で芸事の道へ飛び込んだ彼らなのです。「俺らの方が笑いとれるんじゃね?」みたいに言われたら、カチンと来るに決まっています。

この勘違いをあろうことか、同じ芸能界に生きるプロがやってしまい、ちょっとした小競り合いになったことがあります。それが、globeのKEIKOとナインティナイン矢部の争いです。

「矢部のことが嫌い」とディスったglobe・KEIKO


事の発端は1997年。KEIKOがダウンタウン・浜田雅功司会のバラエティ番組『人気者で行こう!』に出演したときのことです。
当時のKEIKOといえば、globeが全盛の時期で、J-POPシーンにおけるスターの一人。デビューアルバム「globe」は400万枚、シングル「DEPARTURES」は200万枚超えを果たし、25歳にして栄光の限りを尽くしていました。

この番組内でKEIKOは「ナイナイ矢部のことが嫌い」と痛烈に批判。それだけに留まらず、あろうことか「私の方がツッコミが上手い」とまで発言したのです。番組中、音声が消されていたものの、表示されたイニシャルから十中八九、矢部のことを言っているのは明らかでした。

相方への批判 岡村隆史の怒りが爆発!


この放送をたまたま矢部は目にします。普段から仲が良かったり、冗談を言い合える関係だったなら問題なかったのでしょう。
しかし、KEIKOとは、当時ナイナイがMCを務めていたオーディション番組『ASAYAN』でちらっと面識がある程度。
なのに何故、これほどまでにこき下ろされなければならないのか……。ナイナイのラジオ番組『オールナイトニッポン』でこの話題に触れた矢部は「なんかしたかなぁ思って、俺」と少しショックの様子。

これに憤慨したのが、相方の岡村でした。「ほんまに僕の相方の事言うてるんであれば、ほんま、シバかなあかんなと」と、高校サッカー部時代からの可愛い後輩がディスられことに怒り心頭。「僕ねぇ、音もんに馬鹿にされるのが一番嫌いでねぇ」とさらにまくし立てていました。


番組のコーナーで反撃開始!しかし、事態は思わぬ方向へ…


その後、彼ら2人の取った報復措置は、オールナイトニッポンの番組内にglobeの曲の替え歌コーナーを設けるというもの。KEIKOを笑いのネタにしてやろうという、何とも芸人らしい反撃方法です。

けれども代表曲『FACE』の替え歌「鏡に映ったマークのチ○ポ。情けないよで、たくましくもある」というネタが大ウケしてしまったため、途中からマーク・パンサー弄りのコーナーに方向転換。
マークは小室と共にスタジオへ遊びにきたことがあるにも関わらず、とんでもないとばっちりを受けてしまったのでした。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりナインティナインのオールナイトニッ本 vol.3 (ヨシモトブックス) (ワニムックシリーズ 168)