昔、フジテレビのバラエティ『めちゃイケ』で、「外国人王」という企画が放送されていました。これは、めちゃイケメンバーが外国人向けに考案したネタを、会場に集まった外国人の前で披露し、どれだけ笑いをとれるか競うというもの。

最もウケていたのは、山本圭壱がマイケル・ジャクソンコスで演じたスリラーだったのですが、同じくらい喝采を浴びていたのが、岡村隆史が踊るヒゲダンスでした。
おそらく、海外からのゲストは『8時だョ!全員集合』も、志村けんも加藤茶も知らないでしょう。およそ、ネタのバックボーンと呼べる知識など皆無に等しいのに笑いを取れたのは、ダンスというパフォーマンスが万国共通の訴求力をもっているからに他なりません。

言語や文化が違おうと、踊りが持つ魅力・パワーと言うのは伝わっていくもの……。それを証明してみせたのが、同じくフジで放送していたコント番組『笑う犬の冒険』から生まれたユニット・「はっぱ隊」です。

ボツになる予定だったはっぱ隊のコント


後述しますが、はっぱ隊は日本はおろか、世界中でそのパフォーマンスを賞賛されることになります。しかし、初登場時は「小松プロデューサーのダメ出し」コーナーで、ボツネタとして扱われていました。

理由はオチを任されたビビる大木が、〆の一言でスベってしまったため。ともあれ、ボツのコーナーとはいえOAしたということは、番組的にも推していきたいキャラクターではあったのでしょう。

内容としては、大学不合格、会社の倒産、リストラなど、毎回、不幸に見舞われ苦悩する内村光良の前に突如、「やったー!今日から君は自由だー!!」などといって南原清隆が登場します。全裸に肌色のパンツ、股間を覆い隠す葉っぱ一枚という出で立ちです。
「YATTA!YATTA!」と小躍りした直後、続け様に原田泰造がカットイン。そこから名倉、ホリケン、ビビる・大内、大木がやってきて、また「YATTA!YATTA!」と踊った後、ナンチャンの一言で唄が始まります。
その唄こそが、はっぱ隊のデビュー曲にして唯一のシングル『YATTA!』でした。

アメリカ・ABCの番組で全米デビューを果たしたはっぱ隊


作詞は前述の『笑う犬』プロデューサー・小松純也、作曲はモーニング娘。の『LOVEマシーン』のアレンジも務めたダンス☆マンが担当した『YATTA!』。オリコンシングルチャート初登場5位という結果以上に、海外でその映像が紹介されたときの反響は凄まじいものでした。
その人気に応えるため、2003年3月13日、はっぱ隊はアメリカ・ABCの番組『ジミー・キンメル・ライブ!』にゲストとして出演。全米が注目する中でパフォーマンスを披露するという、快挙を成し遂げたのです。

動画投稿サイトでは未だ高い人気


全米進出から13年。
あの頃よりも格段にインターネットが発達した現代において、はっぱ隊はなおも多くの国や地域で愛され続けています。その証拠に、とある動画投稿サイトのコメント欄には、様々な言語で書かれたメッセージがずらり。
「リセットさえすりゃ最高だ!」「みんな一緒だHAPPYだ!」「生きているからLUCKYだ!」……。そんな底抜けにポジティブな言葉を一点の曇りなく歌う姿は、言葉以上になにか訴えかけるものがあるのでしょう。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより笑う犬2010寿 Vol.1 [DVD]