日本テレビ系土曜夜9時からの時間帯は、1969年秋から続く伝統のドラマ枠である。
ティーンエイジャー向けの作品が中心だが、初主演となるアイドルの起用や、過激な脚本や斬新な演出を仕掛けることも多い、意外な「冒険枠」なのだ。

特に90年代中期はその冒険ぶりがハンパなかった。しかし、冒険しすぎた結果、「封印作品」もいくつか生まれてしまっている。そして、なぜか「ジャニーズ主演+マガジン系マンガ原作」の組み合わせで、その悲劇がたびたび起こっているのであった……。

酒鬼薔薇事件の影響で再放送は不可能!『銀狼怪奇ファイル』


KinKi Kids堂本光一の連続ドラマ初主演作となる『銀狼怪奇ファイル』。正式名は『銀狼怪奇ファイル~二つの頭脳を持つ少年~』であり、二重人格の主人公を熱演し、高視聴率を獲得。近藤真彦の歌う主題歌『ミッドナイト・シャッフル』もスマッシュヒットとなった。
原作は『マガジンSPECIAL』に連載されていた『超頭脳シルバーウルフ』だが、主人公の設定や登場人物名の一部以外はほぼオリジナルに変更。
円谷プロ往年の名作『怪奇大作戦』に通じる、科学犯罪による怪奇現象に挑むのが基本のストーリーラインだ。
ジャニーズ主演の「実写化ドラマ」を襲った悲劇とは!?

しかし、その「怪奇」方面に力を入れすぎたため、エロ・グロ・バイオレンスのオンパレード! 特に問題となったのが第1話「恐怖!首なしライダー出現!」。ドラマ冒頭のダイジェストから、何人もの犠牲者の生首が飛び交う異常事態。明らかにやりすぎである。
それに加え、翌年にあの「酒鬼薔薇事件(神戸連続児童殺傷事件)」が起きてしまったことに伴い、再放送およびDVD化は現在に至るまで自粛されている模様だ。

トリックをパクって第1話が封印!『金田一少年の事件簿』


92年から休載を挟みながらも現在まで続く『週刊マガジン』の看板作品『金田一少年の事件簿』。ジャニーズ主演で何度もシリーズ化していることでもおなじみだ。

堂本剛はこの作品で堂本光一よりも半年早く連続ドラマ初主演となったが、視聴率とインパクトではこの初代シリーズが圧倒的。平均視聴率で23.9%、最終回は驚異の29.9%を記録。後のシリーズが霞んでしまうのも仕方がない。
ジャニーズ主演の「実写化ドラマ」を襲った悲劇とは!?

こちらも『銀狼』同様、怪奇要素がふんだんに盛り込まれているが、問題はそこではない。
第1話「異人館村殺人事件」のトリックが、島田荘司の小説『占星術殺人事件』からの流用を指摘されてしまったのだ。あらためてトリックの使用許可を得ることで、原作マンガには注釈を付ける形となったが、ドラマについては欠番扱いとなってしまった。


小学生が同級生を皆殺し! 封印された『サイコメトラーEIJI』


TOKIOの松岡昌宏の連続ドラマ初主演作も、同じく『週刊少年マガジン』の人気作品『サイコメトラーEIJI』。
ジャニーズ主演の「実写化ドラマ」を襲った悲劇とは!?

猟奇事件がドラマの軸となるが、第3話「ボクを殺さないで」は特に凄惨な内容。小学生がバスの車内で同級生、教師、運転手らを皆殺しにするという衝撃すぎる展開なのだ。一応、「植物人間状態の双子の兄の生き霊に憑かれたため」というトンデモ設定が殺害に至った経緯なのだが、倫理的には何のフォローにもなっておらず欠番扱いに。作品そのものもDVD化されていない。

ちなみに、上記3作品は「同一世界」という設定になるそうだ。
私たちが住むこの世界以上に凄惨で猟奇的な事件が多く、犯罪の低年齢化も進んでいるようである……。
(バーグマン田形)

田一少年の事件簿 (1) (講談社コミックス (1874巻))
サイコメトラーEIJI(1) (週刊少年マガジンコミックス)
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