日本の漫画、アニメは実写化されてボロクソに叩かれるところまでがコンテンツなんじゃないだろうか。そんな実写化に果敢に挑んできたのがハリウッドだが、それよりも先に韓国が実写コンテンツとして提供してくれているケースが結構ある。


愛と哀しみというワードで語られることが多い「北斗の拳」も、韓国の手にかかると、愛とか哀しみとかどうでもよくなる作品になっていた。

登場人物、全部誰? 状態


無許可で実写化!韓流「北斗の拳」は愛より笑いを届けてくれた
画像はAmazonより

おそらく無許可だが、1991年に韓国版北斗の拳が制作された。主人公ケンシロウの恋人であるユリアを、宿敵である南斗聖拳のシンや北斗の長兄ラオウの手から奪い返す物語なのだが、登場人物がどう見ても原作とは似ても似つかぬ姿形。

最強にして最恐のラオウにいたっては、時代が時代なら大炎上必至のレベルの華奢な身体だった。インターネットの世界が発展する前で良かったねと、なぜかほっと胸をなでおろしてしまったほどだ。

それに加えて、最も大きな問題は、「北斗の拳」は北斗神拳伝承者であるケンシロウの物語のはずなのだが、この映画ではなぜか「ライガー」と呼ばれていたことだった。

ラオウとレイの迷バトル


原作におけるラオウとレイのバトルは有名だ。数多くの敵を南斗水鳥拳を使って切り裂いてきたレイが南斗究極奥義「断固相殺拳」を繰り出したが、ラオウの前ではまったく通用しないどころか指一本で倒れた。


韓国版北斗の拳でも、ラオウとレイのバトルが展開されたが、想像を絶する迷バトルとなってしまった。2人のバトルは廃車置場のような場所で繰り広げられたうえ、なぜかただ廃車を投げ飛ばしてぶつけ合う力比べのような展開だったのだ。まさかの拳法無視バトルには失笑する以外なかったが、そんなグダグダな展開は互いが奥義を繰り出したことによって一発で決まった。

北斗神拳は内部から身体を破壊する恐ろしい拳法のはずだが、奥義を喰らってほぼ死にかけのレイに対して追い打ちをかけるかのようにラオウが蹴りを連発するシーンは、北斗神拳の真髄をまったく理解できていない迷シーンだろう。

まさかの結末に唖然とする以外なかった


「我が生涯に一片の悔い無し」というセリフは、北斗の拳史上最高のセリフといっても過言ではない。本作でもクライマックスはラオウとライガー(ケンシロウ)が死闘を繰り広げるラストシーンだ。
ただし、ラストにはまさかの展開が待ち受けていた。

バトルでは終始ライガー(ケンシロウ)優勢の展開が続いていたはずなのに、最後の最後でラオウが逆転勝利を収めてしまうのである。そしてラオウはユリアを連れてどこかに去ってしまったのだ。予想だにしなかったこの結末には、唖然とするほかなかった。

人生とはうまくいくことばかりではないということを、この映画は人々に伝えたかったのかもしれない。

(空閑叉京/HEW)