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スーパーマリオと人気を二分していたと言っても過言ではないシリーズタイトルがある。「くにおくん」シリーズだ。
『熱血硬派くにおくん』はケンカアクションゲームとして登場し、そこからスポーツゲームへと進出していった歴史を持つ。
オリンピックをモチーフとしたファミコンソフト『びっくり熱血新記録 はるかなる金メダル』は、くにおくんスポーツシリーズの中でも特に90年代の子どもたちを夢中にさせた。
普通のスポーツとは違う不良たちの争い
くにおくんスポーツシリーズといえば、純粋なスポーツゲームとは異なり、殴る蹴るといった不良ならではの妨害込みで行われる。『びっくり熱血新記録 はるかなる金メダル』ではそれらに加えて競技を有利に進めるためのアイテムが充実していた。
ただの競技種目もくにおくんシリーズの競技となると、ルールも正統派とは程遠い不良に合わせたものになる。例えば「400Mハードル」。通常のルールはハードルを飛び越えながら400メートルを駆け抜けるものだ。しかし、くにおくんフィルタを通すと、ハードルは壊すもの。さらには競争相手にまきびしを撒いたり、オイルで邪魔をするのもOK。基本的に相手より先にゴールすれば良いのだが、理想的な勝ち方は、相手を攻撃してゴールする前に倒してしまうことだった。
「棒幅跳び」競技にいたっては、トラック競技から大きく外れた「ビル超え棒幅跳び」という競技になっている。くにおくんシリーズにとっては“ビル越え”もスポーツだ。
また、オリンピックがモチーフであることもあって、柔道(はちゃめちゃ柔道)も競技種目の一つ。
とはいえ、一本勝ちなど存在するわけもなく、相手のヒットポイントを0にするまで完膚なきまでに叩き潰すというルール無視っぷりが清々しい。
ゲームボーイ版のみ提供の「カサ争奪戦」も白熱の戦い
ゲームボーイ版ではファミコン版とは若干競技種目が変更されており、「カサ争奪高飛び込み」という競技がプレイできる。300メートル上空から落下しながら傘を奪い合うものだが、なぜこれほどまでに壮大なスケールで傘の取り合いを行わなければならなかったのだろうか…。
さらにこれも、傘を奪うよりまずは敵を叩きのめそうと考えるため、純粋なアクションゲームになってしまう。相手をボコボコにできると単純に気持ちいい。傘は相手をやっつけてからじっくりと取ればいい。そんな競技だった。
このように、くにおくんシリーズはスポーツ競技との融合を果たしたものの、やっていることは初代『熱血硬派くにおくん』となんら変わらぬケンカだった。健全(?)なケンカとなるよう、スポーツというフィルターを取り込んでカモフラージュしているだけともいえるだろう。
兄弟で当時プレイしていた筆者は、ゲーム内容が原因でリアル兄弟ケンカに発展しまくっていったことだけはお伝えしておきたい。
現在日本でもeスポーツがどんどん発展しているが、『びっくり熱血新記録』を競技ゲームの1つに加えれば、リアル場外乱闘という楽しみも増えるようなきがする。
(空閑叉京/HEW)
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