「有名税」という言葉をご存知でしょうか? 一言でいうと「個人の知名度向上により生じる問題」という意味だそうです。「金メダル獲得!」「芥川賞受賞!といったように、メディアで何らかの功績が讃えられれば、その名声で多額の報酬が得られます。

しかし、その反面、異性スキャンダルが大々的に報じられたり、過剰なバッシングを受けたりもします。
そんな、有名であるがゆえの代償を税に引っ掛けて使われるのが、この有名税という用語です。

有名税の具体例として一つ挙げたいのが、一般人から絡まれるケース。よくあるのが、飲み屋などで悪酔いした人が「おっ、あれ○○じゃねえか!」といってうざい絡み方をしてきたり、ちょっかいをだしたりしてくるという事案です。

さまぁ~ずのバラエティ『げりらっパ』の生放送中に事件は起きる


プライベートの場だけではなく、テレビカメラが回る公の場でも幾度となく繰り返されてきました。そんな狼藉にブチ切れたタレントの一人が、さまぁ~ずの三村です。

事件が起きたのは、2003年12月23日。
名古屋テレビのバラエティ『げりらっパ』55分生放送スペシャルでのことでした。こちらはさまぁ~ずの2人が毎回、街中にゲリラ的に現れては、ゲスト出演者と共に様々な企画に興じるという番組なのですが、ゲリラゆえに見物人たちが集まりすぎるなどのトラブルが、以前から多発していたといいます。

ひざ蹴りされたさまぁ~ず・三村、大乱闘に発展


この日の深夜、名古屋市・栄の繁華街を自転車で駆け抜けるという企画に挑戦したいたさまぁ~ずの2人。例によって、撮影クルーに気づいた野次馬たちが周囲を取り囲み、あっという間にもみくちゃの状態に。
「危ないから下がって!」というスタッフの怒号飛び交うなか、まず、オレンジ色のダウンを着た人物がその混乱に乗じて走り寄り、三村のチャリに体当たりをかまします。バランスを崩し、よろける三村。そこへすかさず、黒のジャケットを羽織ったもう一人が三村の襟元を掴んで、自転車から引き摺り下ろし、膝蹴りを見舞うのです。

堪忍袋の緒が切れた三村は、すぐさま反撃。タレントを守らんと、同行スタッフも次々と戦闘に参加し、輩vs番組の総力戦が始まってしまったのです。

尻を蹴られた明石家さんまの「神懸かり的切り替えし」


この大乱闘、当然、生放送の電波に乗せるわけにはいかず、「画像が大変乱れております。しばらく、そのままでおまちください」という字幕入りの、蝶が舞う野原を描いたフリップに切り替わります。

その後、映像はロケバスの中に切り替わり、「商店街の皆様、大変ご迷惑をおかけしました」という一言と共に、深々と頭を下げた三村。その表情は疲れ切っていました。
どう考えても悪いのは、襲撃した輩の方なのに……。有名税の不条理、ここに極まれりといったところでしょうか。

三村が反射的に攻撃を加えたのは、非常に全うなもの。謝罪こそしましたが、その行為を咎めるものは皆無なはずです。
しかし、かの明石家さんまは、かつて街中で後ろから尻を蹴られた時、「いや~ん、ナイスキック!」と言ったそうです。片や男として、片や芸人として100点満点の返しといえるでしょう。

(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりクイック・ジャパン85