90年代はアクの強いバラエティ番組が数多く存在した。その一つに数えられるものが、1995年1月よりフジテレビ系列で放送された『とんねるずのハンマープライス』(以下『ハンマープライス』)だろう。

芸能人や有名人が提供する商品を参加者達が競り合い落札する番組であるが、今から見れば“ストーカー寸前”の案件もあった。

常盤貴子の残り湯も出品


それでは、『ハンマープライス』にはどんな商品が出品されていたのか。

最初のオークションで登場したものは、「常盤貴子のお風呂の残り湯」である。当時の彼女は『悪魔のKISS』でカード借金地獄から風俗嬢へ転落する女子大生役を演じ、ドラマ内でヌードを披露したほか、“ハケ水車”をはじめ過激なエロ企画を放送していた深夜番組『殿様のフェロモン』のサブ司会者もこなしていた。
こうしたエロ路線の延長で、お風呂の残り湯も出品されたのかもしれない。

中山美穂が膝枕で耳掻き、篠原涼子の唇グミも


さらに番組では、芸能人と直接触れ合える権利も多く出品された。

「中山美穂が膝枕で耳掻きしてくれる権」「辺見えみりが布団を温めてくれる権」「飯島愛に添い寝してもらえる権」などである。
飯島愛の添い寝権はファンの男性が落札したが、「間違いを起こさないように」手足を縛られた状態で行われた。
憧れの人が目の前にいるのに手は出せない……。当人は、さぞもどかしい気持ちだっただろう。

番組ではほかにもきわどい商品が数多く出品されていた。
女優の瀬戸朝香は、当時出演していた使い捨てカメラ「スナップキッズ」のCMにならい、彼女の着替えを撮影した使い捨てカメラを出品(現像写真は落札者のみが見られる)。さらに遠藤久美子は、「スイカの種だけで作った枕」を作るため、数十玉のスイカを食べた。

落札が原因でイジメに遭った人も


極めつけは「篠原涼子の唇の形のグミキャンディー」だろう。彼女のセクシーな唇を型取ったグミが出品された。
ファンの男性が数十万円で競り落とすも、唇グミを買ったことで勤務先でイジメに遭い失業。再出品され、二束三文で落札された。

いづれもファンにとってみれば喉から手がでるほど欲しい商品だろうが、冷静に考えてみれば“ストーカー寸前”の商品ばかりである。

落札者たちの執念が凄かった『ハンマープライス』


『ハンマープライス』は著名人にまつわる豪華な商品(権利)がウリのように見えて、本当の面白みは、どうでもいい商品に熱をあげる落札者たちの執念にあったといえる。

『ハンマープライス』は番組が進むにしたがい、数十万円~数百万円の高額落札が相次ぐようになった。中にはその場で隣に座った人からお金を借りることで、落札した人間もおり、さまざまな人間ドラマが生まれた。


1998年9月に終了を迎えた『ハンマープライス』。およそ3年半の放送における落札額の総額は1億3842万7874円だった。これほどの大金が飛び交った番組はそうそう現れないだろう。

※イメージ画像はamazonよりmiss you もういちど逢いたくて―常盤貴子写真集