大ヒットした「野猿」を振り返る!メンバーほとんど番組スタッフだった 
『野猿』画像はAmazonより

90年代はバラエティ番組内から音楽ユニットが誕生するという現象がよく見られた。『とんねるずのみなさんのおかげでした』から誕生した音楽ユニット「野猿」もそのひとつだ。


「野猿」と他企画ユニットとの違いは“スタッフ”


野猿は90年代後半に登場した言わば後発組。これ以前にはウッチャンナンチャンの番組から誕生した千秋率いる「ポケットビスケッツ」や、ビビアン・スー率いる「ブラックビスケッツ」などがいる。しかし、彼らと野猿とでは大きく異なる点がある。それは、メンバーがタレントか、番組スタッフかという点だ。

野猿はユニット結成当初、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の番組スタッフのみで構成されていた。業界人といえど、芸能人とは異なる立ち位置にいる彼らがあれよあれよとデビューしていく様子に、“そんなデビューの仕方があるのか”と筆者は非常に驚いたことを覚えている。

結局とんねるずの2人がボーカルとして加わることになったため、純粋なスタッフだけのユニットではなくなってしまったが、それでもほとんどが一般人であることに変わりはない。
NHK紅白歌合戦に2年連続で出演するほどの人気ぶりに、音楽で飯を食っていたライバルたちはどんな心境だったのかが気になるところだ。

解散は自殺者が出るほどの影響があった


とんねるず以外の野猿メンバーは番組スタッフであったがゆえ、野猿における音楽活動でどれだけ売れても、給料とは別に手当が支給されることはなかったらしい。今の時代だったら色々と問題になりそうなものだが…、これもまた“時代か”の一言で片付いてしまうのだろう。

98年から約3年間の活動の後、野猿は解散した。番組スタッフも言ってしまえば会社員、本業が疎かになって会社が傾いては元も子もないという意味もあったのか、解散の理由は本業への専念や人事異動といったものだった。しかし、一部に熱狂的なファンもいただけに、野猿の解散は悲観したファンの自殺という悲劇も生んでしまった。
様々な意味で世間に大きな影響を与えたことは間違いない。

今年3月に終了した『とんねるずのみなさんのおかげでした』で、野猿メンバーが久々に集結したシーンにニヤリとした視聴者も多かったことだろう。解散から17年が経ち、当時のように歌って踊ることは難しいかもしれないが、とんねるずの2人なら昔ながらの無茶ブリで野猿の再結成を実現してくれないかなと密かに思っている。

(空閑叉京/HEW)