伊集院光といえば、テレビ出演時は知性的なキャラとして認知されているが、知る人ぞ知る彼の"本業"は、過激な発言や下ネタを連発するラジオパーソナリティである。

ニッポン放送が主戦場だった伊集院光


TBSラジオで『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』を20年以上続けているほか、2016年4月からは朝の情報ワイド番組『伊集院光とらじおと』のパーソナリティも務めている。
いまやすっかりTBSラジオの顔となった伊集院だが、かつてはニッポン放送を主戦場としていた。


ニッポン放送時代の代表的な番組といえば、『伊集院光のOh!デカナイト』が挙げられるだろう。月曜~金曜(94年4月以降は月曜~木曜)の22時から3時間の生放送だった。

『伊集院光のOh!デカナイト』の名物企画


中高生のリスナーを中心に絶大な人気を誇ったこの番組。名物企画をいくつかふりかえってみたい。

■尾行マン
アナウンサーと番組スタッフが、街で見かけた女性を尾行し、家へ帰るまでを音声で実況する。当然無許可のゲリラ収録である。

ところがある日、尾行した女性がニッポン放送の大株主企業の重役令嬢だったため、大問題となりコーナーは打ち切りとなった。
今なら絶対に放送できないストーカーさながらの危ない企画だ。

■ザ・ベースボールクイズ
視聴者参加型のクイズコーナー。野球になぞらえてヒット、二塁打、三塁打、ホームランと問題が用意され、野球のルールに準じて得点を決めてゆく。当然、ホームランが一番難しい。

1点につき賞金5千円がもらえるルールで(最高は4万5千円)、中高生にとっては嬉しいお小遣いだろう。最終回に出演したリスナーはすべてホームランで問題に挑んだ。


■ARBプロジェクト
番組内から「荒川ラップブラザーズ」(ARB)という企画音楽ユニットが誕生し、実際にシングルとアルバムを1枚ずつリリースした。

このユニットは不良キャラのため、番組内でリスナーのハガキを破るパフォーマンスを行っていた。
ところがラジオに愛着がある伊集院やスタッフ一同は、実際にはリスナーのハガキを破ることはできず、別の紙を用意して破る音を出したという。

突然の番組終了、スタッフとの軋轢も?


このようにリスナーを巻き込み、人気番組となった『Oh!デカ』であるが、1995年の4月27日に突然終了する。

この背景にはスタッフとの軋轢があり、番組改編期ではない時期での終了は、4月から伊集院が新番組をスムーズに始めるのを防ぐ局側の嫌がらせであったともいわれている。

それでも、1995年の4月から伊集院は、日本テレビ系列で深夜の生放送番組『どんまい!!』の仕事を始めている。

しかし放送時間の一部がかぶっていたため、『Oh!デカ』の一部を録音にすることでしのいだ。

テレビの仕事は事務所が勝手に入れたものであり、伊集院の仕事をラジオからテレビへシフトさせたい事務所の意向もあった。
だがラジオへのこだわりが強い伊集院は、半年後の1995年10月、『深夜の馬鹿力』で深夜ラジオに復帰し、現在に至る。