5月24日、大麻取締法違反容疑で逮捕され、6月7日に処分保留で釈放された田中聖。
ジャニーズ時代から"チョイ悪"キャラで知られていたが、実際に田中は事務所きっての問題児だった。
六本木のバー経営をはじめとした事務所を介さない活動、タトゥー、下半身写真の流出、AV女優との交際など、飛び交う噂の雨あられ……。

ジャニーズ事務所もしびれをきらしてか、2013年10月には「度重なるルール違反」により突然の契約解除宣告を行なった。ソロ活動が軌道に乗っていたなかでの今回の騒動なので、なお後味が悪い。

坂上忍「礼儀が正しい方だった」


芸能人に問題が起きたときは、ここぞとばかりに悪評が立つ。しかし、毒舌がウリの坂上忍も「ちゃんと挨拶できるし礼儀が正しい方だった」とコメントするなど、共演者から田中の悪い評判は聞かない。
KAT-TUNの中丸雄一も、シューイチ(日テレ系)で、慎重に言葉を選びながらも「僕の知っている限り、本来は100%そういうもの(薬物)に手を出す人間ではなかった」とコメントした。

そこで今回は、彼のハートフルな一面を紹介しよう。


かなりの動物好きだった田中聖


田中聖は、犬2匹、フェレット、うさぎ、プレーリードッグなど、7匹もの動物たちを「子どもたち」と呼んで暮らしていた田中。
なかでも、トイプードルの「さくら」のことを特別に可愛がっていた。劣悪な環境で飼育されていたところを引き取り、面倒を見ていたので6匹の中でも思い入れが深い。
春は一緒にお花見をしている写真や、夏は浴衣を着た写真などをWebにアップするなど仲睦まじい姿を見せている。

また、「誰か捨て猫をもらってほしい」という猫4匹を預かっている女の子によるツイッターの書き込みに対して、「引き取ろうか?笑」「ほしい人が見つからなかったら2匹とも飼う」と快くツイート。
その件に関するツイートはこれ以上見当たらないが、どうやら1匹引き取ったようだ。誰しも可哀想な動物たちは見過ごせないが、実際に行動に移すのは難しいのではないだろうか。
田中の男気が垣間見えるエピソードだ。

家族を大事にする田中のエピソード


あまり知られていないが、田中は5人兄弟の次男坊だ。
三男は歌手で俳優の彪(ひょうが)、四男はジャニーズJr.の樹(じゅり)。樹とは、舞台「DREAM BOYS」やKAT-TUNのライブなどでも共演している。

なかでも印象深いのは、ジャニーズ事務所の登竜門ともいえる重要作の「DREAM BOYS」。田中は準主役のチャンプ役として数度に渡り熱演した。そんな田中に少し遅れて、樹も弟役として兄と共演。
2011年、帝国劇場100周年記念を飾る大舞台だった。
田中兄弟は仕事以外でも非常に仲がよく、兄弟でLINEのグループも作っている。また、兄弟のみならず田中家は全員仲よしで知られている。誕生日にはみんなが集まってお祝いする「温かい笑顔が生まれる家族」だ。

特に父親のことに対する田中の想いは熱い。なにかにつけて「俺が思い描く理想の男像はウチの親父。
命をかけて家族を守っている」と語るほど。
また、80代の「自慢の可愛いおばあちゃん」の誕生日には「まだまだ見せたい姿がたくさんある」と仲睦まじいツーショット写真をINKTのブログで披露した。母親に対しても「大好きなお袋、まだ親孝行し足りてないから長生きするんだよ」とも語る、優しいお兄ちゃんだ。

事務所に内緒でボランティア活動や被災地支援も


田中が以前から障がい者施設のボランティアに参加して、歌を歌ったり、Tシャツのデザインをしたりしていたことなどはファンの間でよく知られていた。

2006年の24時間テレビで共演した難病と闘う少年Tくんとは、宮城県のライブにも訪れるなど、交流が続いている。2011年の東日本大震災では、田中はいち速く自分の車に救援物資を乗せてT君のもとを訪問。その後は宮城県多賀城市の避難所を訪れ、救援物資を配布したり、一緒に写真を撮ったり、サインをしたりして被災者を励ました。


ジャニーズ事務所では報告なしでの危険を伴う単独行動は禁じられており、こうしたボランティアもルール違反に当たる。しかし、被災地を想う田中の行動はツイッターなどですぐに拡散され、共感を集めた。

とにかくファンに対して優しかった


田中はとにかくファンに優しい。Jr.時代には「一番優しいのは聖」と言われていたほどだ。
ライブ中、トロッコで通路を回ってきた田中は家族連れの小さい男の子に向かって「大丈夫?」と声をかけ、再び同じ所に回ってきたときも気にかけていた。

2012年、東日本大震災後に行われたKAT-TUNのライブ「CHAIN」宮城公演ではこんな出来事も。
黒フチの女の子の写真を手にライブに参加していた男性がいた。
おそらく、震災で娘さんを亡くしたのだろう。それを見つけた田中は男性に向かってグッズのバスタオルを投げた。

長い会話は禁止の握手会イベントでも、田中はとことんファンの話を聞いてくれた。係員にせかされても関係なし。KAT-TUNに対する要望や、○○くんによろしくといった話にも注意深く耳を傾けていた。
ファンが緊張で声が出なくなっても、照れくさそうに、しかしまっすぐな瞳で笑みを浮かべる優しい姿が印象に残っている。

「たとえ一人になってもKAT-TUNをやりたい」


田中は「たとえ一人になってもKAT-TUNをやりたい」と言っていた。
思い出深いのは2010年のライブ『KAT-TUN -NO MORE PAIИ- WORLD TOUR 2010』の日本公演最終日の出来事だ。最後にステージに残り、「みんな、ずーっとハイフンでいてくれる?……じゃあ俺らもずっとKAT-TUNでいる」と照れくさそうに話す田中の姿が脳裏を離れない。

田中には二面性があるのだろうか。そうは思わない。田中は周りの空気を読み、メンバーや共演者やファンに細やかに気を使っていた。誰よりも熱く、正直で、本気だった。
だが、言葉と気持ちが行動と一致しなかったのだ。男気と優しさにあふれていても、自分の言葉に責任をもち、全うできなかったのも逃れられない事実である。

「彼はウソをつくような人ではない」というファンは多い。
これからの田中が、大好きな両親に親孝行ができるだろうか。以前のように兄弟たちの誇りになれるだろうか。もとの仲間たちに胸をはれる日が来るのだろうか。世間の信頼を回復することは難しいが、けっして稀代の悪ではない。
歌、演技、ラップなど豊かな才能の持ち主で、根が優しい田中だからこそ、世間の信頼を回復し、一から夢を叶えなおして欲しい。
(佐藤ジェニー)


※文中の画像はamazonより田中 聖 10845