90年代の格闘ゲームは数々の名作を生み出してきたが、中でも筆者はSNKの格闘ゲームに夢中になっていた時期がある。思春期男子特有の、ちょっとしたスケベ心が、異常なまでにSNKのゲーム筐体に足を向かわせたのだ。


必殺技でKOする喜びはSNKで知った


90年代の思春期男子を魅惑!SNKの格ゲーが必殺技KOの喜びを教えてくれた
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格闘ゲームの醍醐味といえば、キャラクターごとに持つ独自の必殺技。その必殺技で相手をKOできれば、魅せるプレイとして十分なものだった。SNKからリリースされた『龍虎の拳』はさらに、その必殺技KOに絶対的な付加価値を与えてくれることになる。

『龍虎の拳』に登場した「キング」というキャラクターがいる。性別を男性と偽っていた女性キャラクターで、男装したレストランの用心棒だ。そんな彼女の偽りが暴かれる瞬間が『龍虎の拳』にはあった。それが必殺技でキングにKOを決めた瞬間なのである。


KO勝利の瞬間、技を食らったキングの着ている服が破れ、豊満なバストを覆うブラジャーが露出するのだ。必殺技でKOすれば服が破れる。そんな噂は瞬く間に思春期男子の間で話題となった。

龍虎の拳人気は思春期男子が影の立役者かも


続く『龍虎の拳2』では、キングのほかに主人公リョウ・サカザキの妹であるユリ・サカザキがキャラクターとして登場した。もちろん、格闘ゲームとして純粋に楽しめるものだったが、邪心を持った思春期男子にはもう1つ気になることがあった。ユリ・サカザキも脱衣KOすることができるのかどうかという点だ。

ユリも必殺技でKOすれば服が破れる。
思春期男子の期待は見事に実現されていた。それからというもの、ユリを脱衣KOしたいがために少ない小遣いをポケットに入れ、連日のように『龍虎の拳2』をプレイしに通ったものだ。

さらに、『龍虎の拳2』ではキャラクターコスチュームのカラーバリエーションが4種類あったため、ユリとキングの計8種類すべてをその目に焼き付けるために、友達と協力して密かな対戦プレイを楽しむまでになっていた。

脱衣KOは『THE KING OF FIGHTERS』シリーズでも健在だった


様々なゲームの人気キャラが一同に介する格闘ゲーム、『THE KING OF FIGHTERS 94』にユリ、キングも参戦すると知ったら、思春期男子がプレイしない理由がなかった。もちろんSNKゲームキャラのオールスターたちが一同に介するというのも同ゲームの魅力だったが、さらに他タイトルの女性キャラクターもたくさん登場したことにテンションは上がった。

思春期男子の関心事はそこでももちろん脱衣KOができるかどうかだった。
結局、ユリ、キングと龍虎の拳から選出されたキャラのみが脱衣KOの対象だった。それに若干の残念感があったことは事実だが、ユリ、キングは健在。スケベ心には抗えないのが思春期男子の哀しき性、ゲームをクリアする、ハイスコアを出す、そんなことが小さなことに思えるほどに脱衣KOすることに精進したのだった。

そんな脱衣KOが、『THE KING OF FIGHTERS 95』を最後に脱衣KOは封印された。なぜなのか。PTAの抗議でもあったのか、はたまた謎の組織の策略なのか…。
思春期男子にはどういう理由で脱衣KOが封印されたのか、知る由もなかった。

2010年、『THE KING OF FIGHTERS XIII』において、実に15年ぶりに脱衣KOが復活した。これは朗報だったが、いかんせん当時の思春期男子たちは大人になってしまい、当時のように罪悪感とスケベ心の入り混じったなんとも言えない心境でゲームをプレイすることはなくなってしまっていた。

しかし、それでも脱衣KOはその時代時代での思春期男子をドキドキさせてくれるものであるとこれからも信じてやまない。

(空閑叉京/HEW)