結成30周年記念コンサートを2013年11月に行った、THE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)。公演は2回のみでチケット即完というプレミアムな開催となり、1980年代に発表したシングル・アルバム曲の数々を披露。


 なつかしいナンバーがカッコ良く再現され、満員の会場が大きな感動で包まれた。それから4カ月が過ぎた14年3月、曾我泰久と衛藤浩一が【LIVE TOUR 2014春~Dear Friend~】をスタート。全国11箇所の会場を2人で回る、ギター&ドラムのカジュアルで温かなアコースティック・ライヴを開催した。

 終盤に差し掛かった5月4日は、京都の老舗ライヴハウス・都雅都雅(とがとが)が会場だった。オープニングは「Forever Friends」。グッバイ30周年コンサートのラスト曲だったので、“30周年イヤーは続いている”という再開の気持ちを込めた選曲だったのかもしれない。


 大きい会場で聞いた時よりもシンプルな音に乗った曾我の歌声が、心地良く耳に入ってくる中、続いたのはグッバイ時代に作った曲ながら、曾我のソロデビューアルバムに収録された「Round & Around」。バンドスタイルで盛り上がることが多い曲だが、アコースティックでは歌詞がよりしっかりと伝わってきて、楽しいライヴになることを確信できた。

 「ヤッちん! コーちゃん!」というグッバイ時代の愛称が、かけ声となって男性ファンを中心に客席から届き、最初からテンションが上がったという曾我。【Dear Friend】というタイトルで友人を招くライヴを度々開催しているが、この春は付き合いが30年を超えた兄弟のような存在の衛藤に声をかけた。2人にしか作れない音と空気が、あふれているステージだ。

 J-POP界の大御所・杉真理と曾我の共作「僕の月面計画」がさわやかに響いた後は、「一期一会」。
衛藤が振るシェーカーの音と伸びやかな曾我のボーカルが重なって、曲が持つ世界観の広がりを感じた。息の合った2人だからこそ奏でられる、テンポとリズムなのだと思う。

 曾我のトークに、からんでいるようで外したりする衛藤の返答も絶妙。デビューのきっかけになったオーディションの写真や通知を、「芸歴40周年記念で作ったフォトアルバムに掲載しました」と言う曾我と、「忘れ物多くて、思い出も忘れちゃってる」と話す衛藤。対照的で個性も違う2人だが、繰り広げる漫才のような掛け合いから仲の良さが伝わってきた。小学生の時にデビューした曾我は、正式なレッスンを受ける機会もなく、オーディションから半月足らずでステージに立った。
当時の初デュエットの相手はあの“郷ひろみ”で、歌った曲は「ベンのテーマ」。

 今回は衛藤と歌い、思い出話と共に「あの時ステージに立つのが嬉しくて、出番じゃなくても端っこで踊っていました。芸能界に合っていたんだと思う」などと、曾我は語った。そして曾我20歳・衛藤19歳で結成したグッバイの、活動全盛期のなつかしい話題も次々に飛び出す。

 九州出身の衛藤が上京してジャニーズ事務所入りし、六本木に住んで芸能界に染まっていった様も笑い話のように語られた。これからの夢は、「明るく楽しく暮らしたい」と言った衛藤。
「音楽でメッセージを届け、ステージでファンのみなさんとつながっていたい」という曾我は、「たった1度の人生なら、夢を追いかけていこう」と呼びかける、「Go Ahead Again!」を歌った。その思いはメロディに乗り音楽仲間である衛藤に、そして応援を続けているファンに伝わったことだろう。

 このライヴの最大のニュースとも言える、新曲発表の時間もあった。2人の共作は、グッバイ時代の「TRUE LOVE」(シングル:WILD LIFEのカップリング曲)以来というから、実に25年ぶり。短い準備期間で2曲も完成させた。「Music Life」という曲は、“上手くいかない時も、勇気や元気を与えてくれるのが歌”と、素敵な音楽人生をしたためた衛藤の詞が、曾我のメロディにきれいにはまった。


 曾我はポップス系ミュージシャンが表現するジャズ、というイメージでこの曲を作ったらしい。詞もメロディも心に優しくしみ渡ってくる。30年かけて何度もリピートしてきたグッバイ曲の数々を、重ねながら聞いた観客は少なくなかったと思う。

 続いた2曲目は、衛藤の性格を歌詞にした「お気楽にいこう」。曾我いわく「根は真面目だけど破天荒な所があって、その振り幅が広い」のが衛藤の魅力だそうで、それを歌詞にしてほしいとリクエスト。ハミングしていたメロディを広げた曾我は、リズミカルなナンバーに仕上げた。
“笑顔という武器があれば、何とかなるはず”と、力を抜いた衛藤らしい人生論が展開する曲だ。

 「(野村)義男はハードロック、僕はよりポップス、ぱっつぁん(加賀八郎)は哲学系へと走ったバラバラな音楽志向を、上手くつなぎ止めていたのは浩一くんの曲」と、グッバイ後期の作品を彩っていたのが衛藤ボーカル曲だったと、曾我は説明していた。〔2に続く〕(取材・文責:饒波貴子)(曾我泰久の公式サイト「http://soga21.com/」)(写真は「イクセルエンターテイメント」提供)


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