
この印字技術を行なっているのは、オランダに本社を持つ種苗加工会社のインコテックジャパン。
「自社種子識別用マーカー」と呼ばれる種子の印字サービスは、海外で2年前から行なわれている。これは薬やチョコレートに使われている技術の応用で、インクジェットによる印刷は、長さ7ミリ程度のキュウリの種子でアルファベットで7文字まで印字できるとか。1ミリ1文字というなんとも気の遠くなりそうな細かな作業だ。
識別法には、この直接印字する方法以外に、特殊塗料を種子表面にコーティングしておくというものある。特殊塗料をコーティングされた種子は、特別なレーザー光線を当てると緑や赤などに発色。この発色の有無で自社製品かどうか判定するのだそうだ。
それにしても、なぜこういった技術が必要なのか? インコテックジャパンの原田さんによると、日本ではあまりみられないそうなのだがヨーロッパや南米では種苗会社が莫大なお金をかけて開発した種子を本物と偽って不正に偽造・増殖させるという犯罪が横行し、大きな問題となっているそうだ。
種苗会社から、実際に種子を買って育てる生産農家も被害を受けていた。種子の真偽は育てて見て初めて判明することも多いことから、種子の段階で本物かどうかがはっきりわかるこの印字サービスは偽造防止にはもってこい、ということのようである。
また、種子加工には、この他にも様々なものがある。たとえばコーティング。
他にも、形がいびつだったり、小さすぎる種の場合に、種子のまわりを適当な粉体混合物で覆って球形に近い形にして種を蒔きやすくするペレット加工というものもある。写真でみると、コーティング加工された種子は、まるでお菓子やサプリメントのよう。小さな種にも、このような世界があったとは驚きである。(こや)