講談社は栄養ドリンクを販売していたことがある
(上)「どりこの坂」の標識(下)この坂のあたりはひれ伏すぐらいの豪邸街
『マガジン』で育ち、『Hot-Dog PRESS』のお世話になって、今は『週刊現代』をこわきに通勤されている講談社ファンのサラリーマンの皆さん、こんにちは(いるのか?)。

さて、誰もが認めるあの巨大出版社が、かつて栄養ドリンクを販売していたのをご存知だろうか。


そのドリンクとは高速度滋養飲料「どりこの」。戦前、経営多角化を図っていた講談社はブドウ糖・アミノ酸を主成分とした大変甘いこの「どりこの」を発売したところ大ヒット、年に100万本も売れたという。が、砂糖が経済統制されたため昭和19年で製造中止になってしまった。

B級文化研究家として知られる串間努氏のレトロおじ散歩によると。「どりこの」の名前の由来は、「どり」はこのドリンクを発明した医学博士高橋孝太郎氏と共同研究をしていたドイツ人のイニシャルから、「こ」は高橋孝太郎博士の「こ」、「の」は助手の野口さんという人から取ったんだそうだ。まぁ「たのきんトリオ」みたいなもんである(←古い)。

どんな飲料なのか、そろそろ設立100年にもなろうという歴史ある出版社であれば当然資料として保管しているのではと思い、問い合わせてみたところ「確かに"どりこの"は販売してましたが、実物はもうないですね」とあっさり言われてしまった。ちなみに、講談社のサイトの社史のところにも「どりこの」に関する記述は皆無である。

そんな「どりこの」は、今ひっそりと地名として田園調布に残されている。それが写真の「どりこの坂」である。この坂のあたりに「どりこの」の高橋博士が屋敷を構えたため、それまで「池山の坂」という名前で親しまれていたこの場所が「どりこの坂」と呼ばれるようになったんだとか。当時は本当に有名ドリンクであったことが伝わってくるエピソードである。


今回、「どりこの」の面影を求めて生まれて初めて東横線の「多摩川駅」に降り立ってみたが、あまりにもスゴイ高級住宅街でビックリ。特にこの「どりこの坂」のあたりには、うちの親戚が全員揃って床面積を差し出してもかなわないであろう広さの家があった。なんだか、高橋博士の成功の香りがいまだこのあたりに漂っているような錯覚を覚えた。(エキサイトニュース編集部 みと)
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