川も立体交差する
確かに立体交差していた!
立体交差といえば、鉄道や道路など、平面で交差させることができない(もしくはさせると危険な)帯状のトラフィックに対して、後からつくるものを、上下のどちらかに立体的に交差させるものです。

特に、新しく作られる鉄道は、今までの道路の交通を遮断しないように、高架か地下にすることが、もはや必須となっていますよね。
ですから、ワタシ、てっきり立体交差というのは、新しい技術なのだと思っていました。

ところが。

埼玉県白岡町。中心部には東京や大宮へ通勤する人たちの家が集まり、かなり「都会」です。が、まだ町外れまで出れば、のどかな田園風景が広がり、ほっと一息できます。
そんな田園風景の中に、「伏越(ふせこし)」という川の立体交差がある、と聞き、やってきたのです。
え、だって、まさか。川だよ? 水が流れてるんだよ? それをどうやって立体交差させるのさ。

見れば一目瞭然でした。
一方は元荒川という川幅10メートル規模の大きな川。かたや、見沼代用水路という人口の用水路。
元荒川の両端に水門があり、そこから用水路が地下にもぐります。
そして対岸からまた現れ、何事もなかったかのようにまた用水路は流れていきます。
すげー。本当に立体交差してるわ。

説明が書かれた看板を見て、二度びっくりです。これが作られたのは、享保12年というから、1727年。鉄道が出来るはるか昔です。
ということは、この伏越。立体交差の元祖でもあるわけですね。

調べてみると、こうした伏越は、全国各地にぽつりぽつりと存在しています。
同じ埼玉県の越谷市、愛知県の名古屋市、岐阜県の山県市などなど。

まさに生活のための仕組みですから、普段は目に止まらないものです。でも、ひとたび疑問に思って、歴史を紐解いてみたりすると、見えなかったものが、ぐぐぐっと立ち上がってくるのがわかります。
それって、お散歩の醍醐味かも。

派手じゃないです。でも、昔の人たちの知恵とスゴイ土木技術がうかがえて、しみじみ感心なのでした。(谷和原のぞみ@お気楽ステーション)
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