国道マニアの深淵なる世界
酷道の一例(笑)、425号。
むかし、JRが国鉄と呼ばれていた時代、チャレンジ20,000キロというキャンペーンがありました。国鉄の営業路線約20,000キロを全部乗ってやれ! という贅沢で規模の大きな企画で、当時の少年たちの心をぐっと掴んだ……みたいです。


私も目の前に鉄道があれば、それが何であれ乗りたくなります。なんだかんだで、全国にある鉄道のうち、八割くらいは乗ったかなあ。
そうした鉄道乗りつぶしマニア、というのは案外いることが知られているのですが、実は鉄道の世界だけじゃ無いのですね。

「国道」ありますね。青地に白抜きの数字が書かれた、逆三角形の看板、通称「おにぎり」が立てられ、1号線から507号線まで、欠番を含めて、全国に約450路線、約54,000キロ。いわば日本のメインストリートです。

これを「走りつぶしてしまおう」という人々が、結構いらっしゃるのです。
走った証拠として、その「おにぎり」写真を撮影したりして。アルバムには少しずつ、数字が揃っていくわけですね。うーん、楽しそうだけど、しんどそうです。

国道の「楽しみ」はそれだけではありません。「おいおい、これでも国道かよ」と言うような、細かったり、狭かったり、険しかったり、階段になっていたり(!)する国道をマニアのみなさまは愛情を込めて「酷道」と呼んだりして、珍重しています。


私もね。割と好きです。すごくぐねぐねした峠道にぽつりと「おにぎり」が立っていたりすると、ついついカメラに収めてみたりして。
青森県にある、階段になっている国道339号線にも、わざわざ行ったし。
登山道に国道おにぎりが立っているという福島県の289号線は、いつか行きたいと思っているし。

さすがに全部走ろうとは思わないけれど、気持ちは理解できてしまいます。
たぶん、そういう思いを抱く人は、少なくないだろうなあと推測しているのですが。

鉄道よりもさらに日本の奥地までくまなく走っている国道。そこを走り、風景を眺めるということは、日本をくまなく知る、ということでもあります。
イナカのほうに出かけて、もし、「こんなところも国道なの!?」と驚いたら、車の往来に気をつけて、おにぎりと記念撮影です。きっと、よい思い出になるよ。どうでしょう?(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)