雛祭にはまだ気が早い? いやいや、そう思っていたら遅い、今回は大事なお話。
男兄弟の中で育った私がすぐに思い出されるのは、子供時分では、お呼ばれされて食した雛あられや菱餅などのお菓子で、大人になった後では、桃の節句は「白酒」を飲んで邪気を祓うのが本当なのだと皆に言って、しかも「白酒」では甘すぎるので「にごり酒」をそれだと称してその日美味しくいただいたことです。「やっぱりお人形様はどうでもよかったのでしょ。」と、女性に思われても仕方ない感じではありますが……。
では、その人形ですが、皆さんはいつ頃飾り付けますか?
今では地方により様々だと思いますが、昔言われていたのは、雨水の日に飾り付けを行うと、「良い伴侶に恵ますヨ」と言うことでした。「雨水(うすい)」というのは、二十四節気の一つで、今年は2月18日に当たり、雪が雨に変わる頃、積もった雪や氷が溶け出す頃の意味です。
その昔、雛祭というのは、人々の穢れを人形に託して川や海に流したり、水祓いをすることでした。今でも、流し雛の風習が残る地域があることでお分かりでしょう。なので、雨水とひな人形の飾り付けとに、何等かの関係付けがあったから言われるようになったのでしょう。いずれにしても、今年こそは意中の人をゲットしようと、藁をもつかむ思いで目論んでいる女性の方々、この日の飾り付けをゆめゆめ忘れてはなりませぬゾ。そんなこんなですから、土も潤い始め、農耕の準備を始める目安とも昔は言われていました。
そうそう、もう一つ大事なこと。仕舞う日です。
遅くなると行き遅れると言われていますが、啓蟄の日に仕舞うのが良しと言われておりました。「啓蟄(けいちつ)」は次の二十四節気になり、今年は3月5日、地中で冬眠していた虫たちが、陽気に誘われ地上に出て来る頃の意です。新たな生命の息吹を感じさせませんか?雨 水に我が身の埃を水に流しながらひな人形を飾り付け、新たな運命を感じつつひな人形を仕舞う。
如何かな? あとは出会いだけ? それなら、にごり酒を用意してお誘いしよう。案外効くかもよ。(でんでん)