コンパスが北を指さない町
北北東を指すコンパス
広い世界には、コンパスが北を指さない町がある。米国アラスカ州中部にある人口800人の町タルキートナ。
北極圏に近いこの町、コンパスは「北」じゃなくて「北北東」を向いちゃう。写真では上が北。コンパスはずいぶん、時計回りに傾いている。

タルキートナは、21年前に植村直己さんが亡くなった北米最高峰、マッキンリー山への登山口。世界中から登山家たちが集まってくる。コンパスが北を指さないんじゃ、彼らは困っちゃうのでは?

ところで、どうして北を指さないのか。
地球は大きな磁石。まちがいやすいんだけど、北極がS極で、南極がN極。コンパスの赤い「N」は北極のS極に引っぱられる。このS極の位置が、北極点から少し(といっても1000km以上)離れてる。だからコンパスもぴったり北には向かない。

調べてみると、他にも、コンパスが北を指さない地があった。
南アフリカでは「北北西」、ニュージーランドでは「北北東」を向く。旅行する時は気をつけよう。南極大陸には「西」や「南」を指す場所すらあるみたい。旅することはないだろうけど、絶対に迷いそう。実は日本でも、すこ〜しだけ北からずれてる。ずれ方が世界各地で違うのに気づいたのは、卵で有名なあのコロンブス。
波に揺られて毎日毎日、コンパス眺めていたのかな。

ところで、タルキートナからマッキンリー山を目指す登山家たち、実は全然困らない。コンパスは、いつも同じ方角を指してくれればいい。それが北じゃなくてもいいのだ。それに、最近普及しているGPSなら、世界中どこにいても真北を示してくれる。どっちにしても、登山家たちはそのあたり、ちゃんと計算済なのでした。
(R&S)