ロ・ロ・ロ・ロシアンたこ焼き、ひそかにブーム浸透中
この中の一つにチョコレート入りが……。
「たこ焼きの聖地」大阪ではたこ焼き器は一家に一台必ずあり、さらに嫁入り道具の一つにも数えられるというほどである。「飲み会の締めはたこ焼き」や「自宅でたこ焼きパーティ」という風景も、決して珍しいものではない。

大阪人にとってたこ焼きはおやつであり食事でもあり、ちょっとしたおもてなし料理でもあるのだ。
そんなたこ焼きの中身と言えば、当然タコ。もちろんウインナーにキムチ、チーズと言った変わり種も人気だが、タコという定番中の定番は覆す事ができない。それがたこ焼き界の常識であった。
ところが、最近のたこ焼き好きの間では奇妙なイベントが流行中らしい。

それが始まるのは、たこ焼きパーティ終盤だ。

たこ焼きを食べ尽くした後、突然「ルーレットいくで」のかけ声がかかり、登場するのは「チョコレート」ひとかけ。それを、なんと生地を引いた鉄板の穴、一つだけに投入するのである。残りの穴にはいつもと同じようにタコを入れ、後は焼いて皿に盛るだけ。
こうなってしまうと外観は同じなので、どれがチョコ入りのたこ焼きなのかは食べてみるまで分からない。まるでロシアンルーレット、これが今、たこ焼き好きの間でひそかにブームとなっている「ルーレットたこ焼き」だ。

一人一つを一気に食べ、度胸を試すちょっとしたパーティネタである。

食べてみたところ、口にした瞬間あふれ出す熱々チョコレートと、和の風味漂うたこ焼き生地のコンビネーションが何とも言えない。
大阪人の魂であるたこ焼きを冒涜してもいいのかとも思うが、食べ慣れると意外とイケる味で、そればかり食べたいという人もいるのだとか。さらに最近ではチョコだけでなく激辛キムチなども、ネタとして人気である。
この噂を聞きつけ、メニューに加えようか迷っているたこ焼き店もあるらしい。
そんな風潮をオッチャンやオバチャンは呆れながら嘆いているが、ロシアンたこ焼き/ルーレットたこ焼き好きは、「遠慮せんと食べてみたらええのに」と平然と返している。
たこ焼きへのこだわりも、世代差は確実にあるようだ。

(のなかなおみ)