牛乳嫌いの子のために生まれた!? 「カルピス牛乳」
カルピス牛乳ファン待望!? 「『味わいカルピス』美味芳醇」が10月17日に新発売。濃いめにつくった「カルピス」のコク深くぜいたくな味わいは、寒い季節にピッタリです。
「カルピス」を牛乳で割る「カルピス牛乳」(勝手に「カル牛」と呼ばせていただく)のファンは多い。ネットなどでも「カル牛」について触れている人は非常に多いが、はたしてこの飲み方、いつから定番になったのか。

今年で86年目のカルピスだが、発売当初の大正末期、ラムネが1本8銭、サイダーが22銭だったなか、400mlのカルピスは1本なんと1円60銭! 大変な高級品だったようだ。
カルピス広報部・上山さんは、こう話す。
「病院のお見舞い用にフルーツの盛り合わせと同じ感覚で使われることが多かったようで。今でも果物屋さんにカルピスを置いている店がありますが、その名残のようですね」

そんな高級品が、「嗜好品」に変わったのは昭和30年代後半。学校給食が始まり、一気に牛乳が普及した時期でもある。
「たぶん牛乳でカルピスを割れば、牛乳嫌いの子も飲める……ということが、始まりなんじゃないでしょうか」と言うのは、ストレート飲料第一事業部・南川さん。

このころから長年愛されてきた「カル牛」だが、いちばん美味しい割り方「カルピスと牛乳の黄金比率」はあるのか、と南川さんに聞くと、
「パッケージに記載された水との割合は、『1:4』で、商品によっては牛乳との割り方を記載しているものもありますが、『カルピス1:牛乳5〜6』がおいしく飲める割合です」とのこと。

ちなみに、ファンの間では、カルピスと牛乳の割合は「3:7派」「2:8派」など、けっこう派閥があるようだが、これは、
「贅沢すぎて、お母さんに怒られますよ(笑)」。

もともと家庭の味だったカルピスを手軽に味わえるようにしたのが、「カルピスウォーター」。いっぽう、「家でしか飲めないから、商品化してくれたらいいのに」という熱狂的「カル牛」ファンの欲求を満たす飲み物、それが「味わいカルピス」だ。
「『カルピスウォーターでは少し物足りない』という、濃いめの味が好きな人のために作ったのが『味わいカルピス』なんですよ」(南川さん)
牛乳で割っているわけではないので、厳密には「カル牛」とは異なるのだが、
「たまにお母さんの目を盗んで飲むような、あるいは友達の家で飲むような『ちょっとぜいたくなカルピス』がコンセプト」とのこと。

この商品は94年から毎年発売されているが、名前も「クリーミーカルピス」など、微妙に変わったり、中味も「単純にカルピスを濃くしたもの」「生クリームを加えたもの」「牛乳を加えたもの」など、毎年、少しずつマイナーチェンジを繰り返している。

「喫茶店で出すコーラには、レモンを浮かべてあったりするでしょ? それと同じで、一仕事加えたものということです」。

「味わいカルピス」も「2:8派」や「3:7派」など、濃さの好みに応じ多様化した商品が出れば嬉しいのに、と言うと、
「そういう案もあったんですけどねぇ(苦笑)。本来、好みの味に作れるのが、割り材である『カルピス』ですから、ご自分でお好みを追求していただければと」
それは本末転倒ですよね。失礼しました……。
(田幸和歌子)