
わたしは今まで、アジア、欧米を中心におよそ20ヶ国を旅し、現在はニュージーランドに住んでいるが、一度も日本以外で「ミスタードーナツ」のお店を見たことがない。一方、「ダンキンドーナツ」は旅先でもよく見かけるし、わたしの住む町オークランドにも、ダンキンドーナツはある。
一体、ミスタードーナツは、世界のどこにあるのか?
ふたたび、ダスキンのお客様相談センターに尋ねてみると、海外店舗の内訳はフィリピン1,340店、タイ148店、上海7店、台湾6店で、今後も、アメリカ、ヨーロッパ地域への出店予定はないが、ご縁があれば出店する可能性はある、とのことだった。かなり偏りのある海外展開と、フィリピンの店舗数の多さにビックリ。そういえば、以前、フィリピンへ遊びに行った友人が、「ミスタードーナツにそっくりな店があってびっくりした」と話していたが、そっくりなのではなく、そのものだったわけだ。
さらに、リサーチを進めたところ、意外な事実に辿りついた。ご存知でしたか? ミスタードーナツは、日本の企業ではなく、もともとはアメリカの企業だったということを。ミスタードーナツの創業者とダンキンドーナツの創業者は親戚同士ということを。1955年にミスタードーナツとダンキンドーナツは創業を開始し、その後、ミスタードーナツはダンキンドーナツの傘下となり、ダスキンの創設者が日本におけるミスタードーナツのフランチャイズ権を買い取った。
というわけで、アメリカにミスタードーナツの店舗がないのは、すでに、ダンキンドーナツに吸収されているから、ということになる。ヨーロッパに店舗がないのは、フランス在住15年のライター仲間によると、ヨーロッパのドーナツは、外見はアンドーナツに似ていて、中にイチゴなどのフルーツピューレが入ったものが主流で、中央が空洞になっているアメリカのドーナツとはちがう、というのが理由のひとつ。別の理由として、そもそも、ヨーロッパの市場では、スターバックスなどアメリカ生まれのものは受け入れられにくい、と話してくれた。
ミスタードーナツがメイド・イン・アメリカだとわかった今も、わたしにとっては、ふるさとの味。あぁ、日本でミスタードーナツを食べられる日が待ち遠しい。(畑中美紀)