
しかし、永住権はそれだけが“売り”ではない。永住権の人気は、もっと別のところにあるようだ。それは、ニュージーランドの手厚い社会保障。たとえば、医療費の場合、「怪我」はほぼ無料、「病気」は子供や老人なら無料になる。たとえば、失業手当の場合、約3ヶ月間仕事が見つからなければ、最長65歳まで支給され続ける。10年以上も政府の失業保険で生活している家庭もたくさんある。たとえば、年金の場合、ニュージーランドで10年間生活するだけで、就労期間に関係なく、65歳から年金がもらえる。支給額は平均収入の65%と、十分生活していける。
ニュージーランドでは、ゆりかごから墓場まで国が介在し、一生の生活をサポートするというシステムが出来上がっている。
さて、その永住権だが、もちろん、誰でも簡単に取得できるわけではない。年齢、職歴、学歴、家族構成でそれぞれポイントが決まっていて、合計ポイントが規定を超えていることが最低条件となる。ただし、移民の増減によって規定は変わるので、永住権を申請するタイミングも重要になってくる。
先の見えない日本の将来を考えて、ニュージーランドに移住するという人は多い。しかし、ニュージーランドの平均年収およそ250万円を考えると、厳しい現実も見えてくる。物質的な豊かさをとるか、精神的な豊かさをとるか。わたしは、まだ、その答えを見つけられないでいる。
(畑中美紀)