知ってるようで、知らない、「ビデ」のこと
ヨーロッパに行くとこんなトイレありますよね
イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなど、ヨーロッパ諸国を旅したことがある人なら、ホテルで一度は見たことがあるはず。便器の横にある、不思議なもの。
便器ほど高さはなく、フラッシュの代わりに水道の蛇口がついている。便座とフタはないが、さながら、ミニ便器のよう。

ご存知の方も多いとは思いますが、これは便器ではなく「ビデ」。そもそも、なぜ「ビデ」なるものが置いてあるのか。それは中世ヨーロッパの時代、ヨーロッパ人にはシャワーを浴びると言う習慣があまりなく、女性は「下」を清潔に保つためにビデで洗っていた。その名残が今も残っているのだ。


そこで、ふと思ったのが、旅先で、実際に、ビデを利用した人はどれぐらいいるのだろうかと。いや、使い方さえ正確に知らないのではないだろうかと。正直なところ、わたしもよく知らない。というわけで、知り合いのイタリア人女性に訊いてみた。まずは用途から。「ビデは、主に、女性器を清潔に保つために利用されるけど、大をした後にウォシュレットとして、また、足を洗うために使う人もいる」とのこと。
では、使い方は? 「洋式便器を利用するときとは反対向きで、便器にまたがるか、便器が清潔であれば、直接座る。蛇口がひとつなら「水」か「ぬるま湯」、ふたつなら「水」と「お湯」がそれぞれ出るので、ビデの中に溜めるか、流しっぱなしにして手で洗う」と教えてくれた。

電動式ウォシュレットに慣れているわたしたち日本人にとって、入浴中ならまだしも、トイレで手を使って、あそこを洗うというのは、多少なりとも抵抗があるが、みなさんはいかがでしょう?

わたしが初めてビデを見たのは、10年前、イタリアのホテルで。ビデとはつゆ知らず、「イタリアには大用と小用の便器があるのか!?」と軽くパニックになったことを思い出す。一緒にいた友人もビデを知らず、ちょうどいいからと、果物をビデの中で冷やしていた。その後、友人はひんやり冷えたリンゴを皮ごと食べていたが、わたしは本能的に「それは違う。
それはあかん」と、しっかり皮をむき、食べたのだった。今でも、そのときの自分を誉めてあげたくなる。
(畑中美紀)