トイレでハンカチ使いますか?
私のよく行くオフィスビルにある三菱電気のジェット式ハンドドライヤー「ジェットタオル」。「ジェットタオル」は三菱電機の登録商標。
先日、ハンカチについてお伝えしたが、実はもう一つハンカチ絡みで気になっていることがあった。それは、最近トイレでハンカチを使う人が少ないのではないか、ということ。

ぬれた手で髪を整えているのか、髪で手をふいているのか、微妙な行動をとっている人をたまに見かけることもあるけれど、私もたまにハンカチを持っていないこともあるので、あまり人のことをとやかく言える立場ではありません。

このことを友人などに話したりすると「そういえば、私もトイレでハンカチ使わない」という人が続出。「えーっ」と一瞬驚いたが、その理由を聞いて納得。
今では、オフィスビルやデパートなどのトイレの多くには、ぬれた手を乾かしてくれる「ハンドドライヤー」があるからだ。最近では、3〜5秒であっという間に水気がとれるジェット式などもあってなかなか便利。タオル式やペーパー式のように、周囲にゴミが散らかったり、タオルがだら〜りと垂れ下がったりすることもなく、見た目もすっきりだ。


さらに詳しく調べてみると、意外と歴史が古いことがわかった。もともとは欧米で誕生したものだが、国産第一号が登場したのは1960(昭和35)年。今から45年も前にあったのは驚き。
広く使われるようになったのは、ここ十数年のことで、温風で水分を蒸発させる方式から、風で水滴を吹き飛ばし一気に乾燥時間が短くなったジェット式が登場してからだそう。

女性の持ち物まで変えてしまった感のあるハンドドライヤーについて、ジェット式を開発した三菱電機に話を聞いてみた。
「当社がハンドドライヤー分野に進出したのは、1993年のジェット式からです。
従来の温風式とジェット式の違いについては、専門的な話になってしまうので難しいんですが、簡単に言ってしまうとモーターが違うんですね。ジェット式では大きな仕事量をこなせるモーターを使っているので、瞬時に強風を出すことができるんですね」
と広報担当の平尾さん。

ドライヤーというと、電気代もかかるのでは? と気になるが、実はジェット式はコストの面でも優れものなのだそう。
三菱電機の手を1回乾かすために必要なランニングコストの比較では、布ロールタオル約3円、ペーパータオル約2円、温風式ハンドドライヤー約0.2円、ジェットタオル約0.03円となるのである。なんとペーパータオル1回分で、ジェットタオルは66回も使えてしまうのである。やや、すごい。
電気を使うもの=コストが高い、というのは、もはや昔の話なのである。

「2004年度実績で見ると、業界全体でハンドドライヤーは全国に15万4千台でそのうちの約80%、12万4千台がジェット式です。当社製品は約6万台です。現在は他社さんでも製造していますよ。社員に対して『トイレでハンカチ、ドライヤーのどちらを使うか』というような調査したことはありませんが、ハンドドライヤーは社内に設置されているので、文化として根づいているとは思います」
と平尾さん。

「ハンカチを持つ=身だしなみ」という図式はあっても「ハンカチ=トイレでの手拭き」というのは今は昔の話なのかもしれません。

ちなみにハンドドライヤー利用者の友人にドライヤーのないトイレだったらどうするの? と聞いたところ「ぱぱっと手を洗って服や髪を直しつつ何気なく出て行く」、「人と会ったり社外に出る時はハンカチ持参」との答えが返ってきた。
(こや)